パナ、EV向け電地や運転支援システムを強化 車載事業世界トップ10目指す

 

 パナソニックは30日、自動車用の電池や運転支援システムなどの車載事業の売上高を、平成33年度(34年3月期)に2兆5千億円に引き上げる目標を明らかにした。29年3月期実績の1兆3千億円から1兆円超を上積みし、自動車部品メーカーの世界トップ10入りを目指す。国内で不振が続く住宅用太陽光発電システムについては、海外展開を強化する方針を示した。(板東和正)

 パナソニックが同日、東京都内で開いた事業方針説明会で発表した。車載事業は成長分野と位置付け、売上高は29年度に1兆6千億円、30年度に2兆円-と段階的に伸ばす考えだ。

 目標達成のために、普及が進む電気自動車(EV)向け車載電池の生産能力を増強する。今年1月に米EVメーカーのテスラと大規模電池工場「ギガファクトリー」(米西部ネバダ州)の共同運営を開始。また今年度中に中国東北部の大連で電池工場を稼働するほか、国内工場の生産ラインも増強する方針を示した。

 車載事業を手がける社内分社「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社」の伊藤好生社長は「自動車メーカーと密に連携し、電池の受注を確実に積み上げている」と話した。

 車の周囲を映し出す「電子ミラー」や、自動でブレーキをかけたり走行レーンを修正したりする「先進運転支援システム(ADAS)」の販売も加速する。

 一方、住宅用太陽光発電システム事業は、国内市場の縮小を受け、今後は海外の販売比率を現在の3割から5割へ引き上げる。パナソニックはテスラと共同で今夏から、米国で住宅向け太陽光パネルを生産する。2019(平成31)年までに生産能力を年間100万キロワット以上に拡大する計画だ。

 このほか、家電分野では、液晶や次世代パネル「有機EL」を使って国内で発売するテレビの高画質化や、デザイン性の向上に取り組む。また、企業向け製品を扱う社内分社「コネクティッドソリューションズ社」は、顧客との接点を増やすために今年10月、本社を大阪府門真市から東京に移すことも発表した。