キヤノンMJ、OurPhotoに出資
ベンチャー支援の現場から■“一生モノ”出張撮影を活性化
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、出張撮影のマッチングサイトを運営するOurPhoto(アワーフォト、東京都中央区)に出資した。スマートフォンの普及で“1億総カメラマン”時代に突入した中、質の高いカジュアルフォト文化を醸成することで、カメラのよさを改めて訴求、販売促進につなげたい考えだ。
キヤノンMJは2020年度を最終年度とする5カ年計画を進めており、成長領域の強化と新たなサービスビジネスの創造を掲げている。それを具現化するため昨年、Creww(東京都目黒区)と共同でベンチャー協業イノベーションプログラムを実施した。最初の説明会には150人が集まるなど関心を集めた中、OurPhotoの先進的なサービスに白羽の矢が立ち、今回の出資に至った。
同社のビジネスモデルは、日常の何気ない瞬間の撮影を希望する人に、カメラマンを紹介するサービスで「土日だけでもフォトグラファーとして活躍できるという、新しい働き方を提供している」(OurPhotoの平野歩社長)点が売り物だ。
登録を希望するには一定の審査基準を通過する必要がある。具体的には面談を通じ技量や機材をチェックするのは当然のこと、コミュニケーション能力を重視する。平野社長は「サービスの根幹」と位置づけており、撮影が上手でもこの能力が水準に達せず、不採用になったケースもあるという。
現在は300人程度が登録。選ぶ際には各カメラマンの仕事ぶりが書き込まれたレビューが参考になり、評価実績に比例して安心感も高まって依頼が多くなるという好循環が生まれる。
利用料金は50分で6480円から。スマートフォンで予約し決済する仕組みでOurPhoto側には35%分の手数料が入る。必然的に好評価のカメラマンの方が料金は高めに設定され、一番人気は1万3000円。
「写真館と異なり自然な笑顔を撮ってくれる」といった理由で人気を集めており、結婚式の2次会やお宮参り、ホームパーティーなど需要も多種多様だ。1人で1日5件をさばくケースもある。
キヤノンMJの松村謙・パーソナルライフマーケティング部部長は「いい機材を使って撮影すればスマホと違い、深みがある一生モノの写真を入手できる。新サービスを通じてこのことに気づいてほしい」と、カメラ需要の拡大だけでなく写真文化と周辺ビジネスの活性化に期待を寄せている。
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