東芝の半導体売却、米WDが子会社化断念か 米ブロードコムも対抗し交渉ヤマ場
東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐり、東芝と生産で協業する米ウエスタン・デジタル(WD)との交渉がヤマ場を迎えている。東芝がWDの法的措置を無効化する対抗措置を取れば、WDが反論を表明するなど激しく応酬。WD側が子会社化を断念したとも報じられ、今週にも行うトップ会談で打開を模索するが、東芝は好条件を示す他陣営の提案も精査して最終判断する。
「東芝の強い決意表明ではないか」。東芝が2日付で28日の定時株主総会までに売却の正式契約を結ぶ方向性を出したことに、銀行関係者はこう述べた。
東芝はWDが国際仲裁裁判所に東芝メモリの売却中止を申し立てたことに対する対抗措置も公表した。WDは東芝が共同運営する半導体工場の合弁会社の株式持ち分を、了承を得ずに東芝メモリに移したことを契約違反と主張しているため、持ち分を東芝本体に移管。WDの主張の根拠をなくすのが狙いだ。
ただ、WDも2日、「仲裁請求は継続する」と声明を出した。WDは「今回移管した金額は少なく、合弁会社の持ち分全てが東芝に戻ったわけではない」と主張。加えて東芝メモリの他社への売却自体を明確な契約違反とした。
東芝は2日付の発表文では、WDが他の売却先候補や取引銀行に売却に合意すれば訴訟提起の意思を伝えていると明かし、「看過できない妨害行為」と断じたが、一方で膠着した事態の打開を模索する動きも出ている。
今週にもWDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者が来日し、東芝の綱川智社長と協議をする予定だ。WDは雇用に配慮して四日市工場に新しい製造棟を造る計画など持っているようだが、東芝関係者は「うちの土地は貸さない」と一笑に付す。関係者は「東芝側から妥協案を出すことはない」との見方だ。
そんな中、WDが買収のため設立する特別目的会社(SPC)を通じた出資割合を19・9%にとどめて当初要求した過半出資から譲歩すると、5日に相次いで報じられた。官民ファンドの産業革新機構や、日本政策投資銀行と「日米連合」を組む方向で調整し、WDは関係国の独占禁止法の審査を迅速に進めてもらう狙いがあるようだ。
一方で、WDと革新機構など日米連合のもたつきを見透かしたように、6日には米半導体大手のブロードコムに東芝が優先交渉権を与える方向で調整に入ったとも一部で報じられた。
さらに、シャープの親会社である台湾・鴻海精密工業も東芝メモリの買収に向け、米アップルや米アマゾン・コムと連携するとの報道もある。米大手企業との連携で、劣勢とみられる買収合戦での巻き返しを図りたい考えだ。
東芝は各陣営の提案を踏まえ、経済産業省などと調整して受け入れを最終判断する。東芝もWDと決裂したまま入札を強行すれば、国際仲裁裁判所の判断次第で売却計画が狂って再建計画が揺らぎかねず、難しい判断を迫られそうだ。
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