2代目社長、ロボットはだめ?「そこは生身の人間に」と孫社長
ソフトバンク株主総会詳報(3完)昨年の株主総会で退任を表明したニケシュ・アローラ元副社長に代わる孫正義社長の後継者問題は、今年の株主総会でも株主からの関心を集めた。
「孫社長が倒れたらどうするのか。事業を拡大する中で非常にリスクがある。今日も風邪をひいているが」と株主が質問すると、孫社長は「後継者問題は大事な点だが、原則として、われわれのグループの中で、5年、10年、ソフトバンクの経営の重要な役割を担って、十分に気心が知れて、十分に同じ方向に経営を引っ張ってくれる、能力的、人格的に優れた人物を後継者として指名しないといけないと思っている」との基本方針を示した上で、「すぐにできるということではなくて、これから10年間かけて、しっかりと課題として取り組みたい」と述べ、60歳になる今年から、60代でいるうちに後継者を選ぶ考えを明かした。
さらに後継者についての質問は続き、ソフトバンクが平成22年に開校した後継者の育成や発掘を目的とした「ソフトバンクアカデミア」の取り組みについて聞かれると、孫社長は「われわれのグループの中で役員や社長として活躍するメンバーが(アカデミアから)生まれてきています。やってよかったなと思っています」と述べた。
今年開設した、10代や20代の若者の教育育成支援を目的とした「孫正義育英財団」については、「知識や知恵を学習するだけではだめで、実際に経営を体験していかないといけない」として、企業経営などの実学の重要性を訴えた。
その上で、「アカデミアや財団は、3、4、5代目の経営陣を育成するのに役立つと思いますが、直近の2代目は、おそらくわれわれの中で活躍している経営陣から選ばれることになると思います」と、10年じっくり見極めた上で、2代目は、現在の経営陣の中から選ぶことになるとの見通しを初めて表明した。
後継者問題に関連して、孫社長が引退するときの時価総額に質問が及ぶと、「12年のネットバブルのピーク時に株を買った人に損をさせたくない」と指摘。ピーク時の株価に比べ、直近は9250円前後を推移しており、1・9倍に当たる水準まで株価を上げたい意向を示した格好だ。
人工知能(AI)が人類の知能を超える「シンギュラリティ」を近年、孫社長は強調していることもあり、株主からは「AIを後継者にすえる考えは」との質問も出された。しかし、孫社長は「やはりそこは生身の人間に後継者になってもらいたい。人間の集団を率いて人間に貢献していくということで、ぜひ、生身の人間に後継者になってもらいたいと思っている」と説明した。
総会は、昨年、ソフトバンクグループの傘下となった英半導体設計大手アーム・ホールディングスのサイモン・シガースCEO(最高経営責任者)ら5人の新任取締役の選任などの全議案が可決され、閉会した。(終わり)
■(1)孫社長、最終利益1兆円達成「志からすればほんの一歩」 から読む
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