益子社長「いつかパジェロ、ランエボの開発に挑戦したい」
三菱自動車・株主総会詳報(3)冒頭の益子社長とゴーン会長による説明は40分以上に及んだ。会場の出席株主からの質問を前に、まず書面による質問に答えた。
株主の書面「燃費不正問題の際にトップだった益子氏を何故、社長に留任させたのか」
ゴーン会長「益子が三菱自動車の再生の指揮を取るのが一番良いと考えているからだ。自主性もって運営して欲しいと思ったからだ。三菱自が経営の自主性を持つためには益子氏しかいなかった。目的は、三菱自が平成29年度、30年度、31年度にどう成長するか、だ。益子の指揮の下で業績に満足いただけると思う。ルノー、日産とも三菱自を支援する」
株主の書面「ゴーン氏は日産の会長、ルノーのCEOも務めるが、利益相反の可能性はないのか」
ゴーン会長「私が三菱自の会長、日産の会長、ルノーのCEOを務めることによる利益相反はない。長年、日産とルノーのトップを務めたが、相反なかった。私自身はどちらかが得して、損するということは一切していない。常にウインウインの補完関係だ。常に三菱自にとって得になるものだけだ」
株主の書面「燃費不正問題の再発防止と商品ラインアップの充実については」
益子社長「昨年の燃費不正問題では多くの方に心配をかけて申し訳なかった。燃費不正の再発防止、社員の意識改革が社内での最大の課題だ。法令遵守体制の強化のための人材も補強した。透明性確保、外部視点の投入を進めている。会社を危うくするリスクへの対応も進めている。当社は信頼回復の長い道のりを踏み出したばかりだ。信頼回復抜きに業績回復は難しい。スピード感もって改革に取り組む。株主さまには理解とご支援を頂きたい」
山下光彦副社長「構造改革の具体的な内容について説明する。まず、不祥事の要因について。過去の不祥事全体から、こう総括している。原因はいくつかあるが、1つは会社の目標、とくに成長目標を見失っていたし、明確に持てなかったことがある。2つめが、いろんな会社の組織、階層の中で、よりどころとなる判断基準が明確でなかったことがある。個々人、個々の部署の判断が失敗を招いた。全般的にコミュニケーションが不得手で、協議が上手でない。それから、計画が不足している。初期段階の計画があって、そこに変更が加わると、下流工程に多大な影響が出た」
山下副社長「明確な目標設定については、これはすでに会長、CEOから発言があったように、成長目標、それを受け他部署、グループ目標を持つ必要がある。新しい規範の設定については、MMCウェイ、社長からも触れてもらったが、透明性高めるとかスピードあげるとかを設定して、展開している。開発にあたっては、法規の外側にある安全、環境の理念を新たにした。コミュニケーションもかけ声だけではだめで、機会をつくる必要がある。相談機会増大のため、必要な検討会を積極的に設定して、より、意見交換ができるように制度化を図っている。リソースマネジメントがうまくできていなかったことで、結果的に現場が苦しんでいた。工数委員会で議論して、必要な工数あてがうようにしている。人事評価制度も、より認められてやる気につながる制度にした。教育制度は、技術力、マネジメント力、人間力の3つにわけて、全従業員がうけられるように進めている」
山下副社長「改革を受けての最近の中堅層の生の声を紹介する。『トップマネジメントが増え コミュニケーションが格段によくなった』『本部の計画、部門の計画、グループの計画を段階的にわけて説明することで、会社の方向性がわかりやすくなった』『設備の老朽化の刷新計画を進めている』『(何でも) 言ってもよいという雰囲気が出てきた』『部中心に業績改革活動を行うが、広範囲な社員をまきこみ、自主的活動が広がりつつある』という声だ。こういうものがさらに広がる構造改革進めたい。開発部部門だけでなく、全社的な動きになる」
益子社長「商品戦略について説明する。パジェロ、ランサーエボリューションの復活ないのかという質問に答える。これまで生産販売してきた中でパジェロ、ランエボはもっとも知名度が高い。ブランドイメージ向上に大きな貢献を果たしてきた。たくさんの人に愛されてきた当社を代表するブランドだ。ランエボはWRCラリーで活躍が認められ、多くの人に愛されてきた。最大の財産だ。
最近、お会いした、(アルピニストの)野口健さんは、幼少時代をエジプトで過ごされたという。日本に関する報道がまったくない中でパジェロという名前はよく聞いたそうだ。パジェロを通して日本の技術や日本に誇りを持ったと話されていた。パジェロとランエボには従業員もお客さまも愛着をもっている。そこで培われた技術は、SUVに承継されている。一方で、ますます厳しくなる環境規制、燃費規制にも目を向けないといけない。米国や欧州で要求される環境規制が、中国やASEANでも導入されていく。パジェロ、ランエボのようなタイプの車は販売可能なエリアが限られる。当社の規模では多くの車種を開発するのは現実的でなく、思い切った選択と集中が生き残りのかぎだ。
だが、夢は捨てたくない。V字回復を実現し、会社に余力が出た暁には、ルノー・日産アライアンスの力を借り、まったく同じではないが、いつかパジェロ、ランエボの開発に挑戦したいという気持ちで仕事を進めていきたい」
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