東芝、東証2部降格 失態繰り返し市場に不信感 WDとの対立…再建へ問題山積

 
会見で頭を下げる東芝の綱川智社長=23日午後、東京都港区(桐山弘太撮影)

 東芝が2017年3月期の有価証券報告書(有報)を6月30日の期限までに提出できなくなった。上場企業としての責務を果たせず、失態を繰り返す東芝に対する市場の不信感は大きい。半導体子会社の売却も提携先の米ウエスタン・デジタル(WD)との対立で順調に進むか見通せないなど、再建に向けて他にも問題は山積みだ。綱川智社長の記者会見での発言から、東芝の現状や課題を読み解く。

 「われわれの対応も遅く、調査が遅れていた」

 監査法人のPwCあらたが東芝の決算を承認していないのは、経営破綻した米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の経営陣が早い段階で巨額損失の可能性を知っていたと疑っているからだ。過去の決算内容を詳しく調査するPwCの要求を東芝は当初突っぱねた。追い込まれるまで歩み寄らず、有報提出延期を招いた東芝に対する市場の目は厳しい。

 「適正でも不適正でも何らかの意見をもらえるよう努力する」

 東芝は現在は調査に協力し、状況が進展しているとの認識だが、WH経営陣の損失認識時期への見解は変えておらず、PwCとの意見の隔たりはいまなお埋まっていない。それで次の提出期限である8月10日に間に合うのか。東芝は期日までに必ず意見を得て、不適正ならば直すという姿勢だ。だが、延期してなお適正意見が出なければ、上場廃止のリスクは高まる。

 「さまざまな変数があるが、対処して一歩ずつ前に進むことが私の責任だ」

 半導体子会社「東芝メモリ」売却の優先交渉権は、官民ファンドの産業革新機構が軸となる「日米韓連合」に決まったが、東芝が目指す18年3月末までの売却完了にはハードルが残る。最大の焦点は半導体工場で協業するWDとの訴訟の行方だ。WDは15日(日本時間)に売却中止を求めて米裁判所に提訴。東芝はWDと協議を続けるが、係争が解決しない場合、連合が出資をとりやめ売却手続きが頓挫する懸念もある。

 「(各国当局の独占禁止法の審査が)通らなかったらどうなるかは今のところ考えていない」

 連合に参加する韓国半導体大手SKハイニックスは、独禁法審査が長期化しないで済むよう出資ではなく融資で資金を拠出する。ただ、SKは東芝メモリと同業で高いシェアがあるため、中国などの独禁法審査で問題視される可能性もあり、審査に時間がかかるリスクが完全払拭されたとは言い難い。(万福博之)