(6)“伊勢角屋イズム”が炸裂 名門ブルワリーが「奥の手」を繰り出した絶品ビール
酒豪女子が行く「これで『辛口』って言える? なんか足らんと思うんや」。完成間近だった伊勢角屋麦酒と産経デジタルのコラボビール造りは、びん詰めの直前で出口善一ヘッドブルワーからまさかの「待った」が入る緊急事態に。ここにきて妥協を許さない“伊勢角屋イズム”が立ちはだかった。酒豪女子こと記者が青ざめ、目前に出荷が迫る中、「短時間で辛口らしさをもっと出すために」使ったという奥の手とは一体? 最終的に出口ブルワーも「これこれ!」と納得したビールはどんな味に仕上がった?
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完成間近のビールに「待った」 “伊勢角屋イズム”が炸裂
よもやの緊急事態…。できあがったビールの仕上がりに納得がいかない出口ブルワーは、すでにびん詰めを始める時間だというのに、あろうことかここから味を変えると言い始めた。もう予約販売はスタートしているし、出荷も間近に控えているのに…。ここにきて「ナンバーワンかオンリーワンのビールしか認めない」という妥協を許さぬ“伊勢角屋イズム”が立ちはだかった。
出口さん「あと1日待てるか? 『辛口』っぽさを出す秘策がある」
筆者「あわわ…(涙目)」
出口さん「じゃあ最優先で今日中に作業するわ」
出口ブルワーはそう言い残しブルワリーの奥へ引っ込んでしまった。取り残された酒豪女子こと筆者は、「ビールは無事完成するのか」「味が変わりすぎたらどうしよう」と焦りを募らせる一方だ
しかし事態が動いたのは2時間後、意外にも早く進展があった。「『辛口』の表現に悩んだけど、さらにキレを出してみた」と、出口ブルワーは「奥の手」を加えたビールを早速注いでくれた。一見、さっきとなんら変わらないように見えるけど…。
またまた一口グイッ。
「えぇ、全然違う!」。赤みがかった琥珀色やフルーティーな香りはそのままだが、口に含んだときの印象はガラッと変わり、全く別のビールに生まれ変わっていた。口当たりはさらにシャープになり、なんといってもガツンとした苦味と「のどごし」の刺激が一層際立っている。飲み込むと口の中には爽快感が残り、それでいて鼻の奥に華やかなホップの香りが広がり、思わず余韻に浸ってしまう。隣でテイスティングする出口ブルワーも、飲んだ瞬間パッと目を見開き、「これこれ!」と言わんばかりにうなずく。それにしてもたった2時間で一体どんな隠し玉を繰り出したのだろうか?
「二度美味しい」大人のビール 伊勢角屋の技術は“ココ”に光る!
「炭酸を強めたんや。のどを通るときのヒリつきが増して、『辛口』らしくなったやろ」(出口ブルワー)。隠し玉は意外にもシンプルだったが、素人目にはたったそれだけでここまで味が一変するとは思えない。経験に裏打ちされた技術とはいえ、いとも簡単に味を操作してしまうとは、さすが腕利きのヘッドブルワーである。
産経読者を意識した“遊び心”も満載だ。「冷やせばキレのある清涼感が楽しめて、少し常温に近づくと豊かでまろやかな味わいになる。1本で二度美味しい『大人の楽しみ方』ができる」(出口ブルワー)。いかにも“クラフトビール”らしい濃い色合いだが、それとは裏腹なすっきりした味わいに仕上げ、目にも口にも楽しめるような工夫をこらしたと語っていた出口ブルワーが、ここでも熟年層が満足できるような仕掛けをほどこしてくれた。
テイスティングにかこつけて何杯も飲んでいたが、伊勢角屋麦酒の技術が光るのはまさにこの「ドリンカビリティ」である。ドリンカビリティとは「おかわりしたくなるか」「飽きずに飲み続けられるか」といった、もっと飲みたいかどうかを測るビールの評価基準。馴染み深い大手のラガーに比べ、クラフトビールの定番としてよく飲まれているエールビールはふくよかで濃い味わいのものが多いため、「すぐ満腹になる」「おかわりするには重たい」といったイメージを抱く人も少なくない。
「ガツンとインパクトがあってももう一杯が進まないなら、はたしておいしいと言えるのか。尖った特徴があっても、香り・苦味・アルコール度数といった全ての基準で均整がとれるようトータルバランスを考えて、おかわりしたくなるビールを造る」というのが、出口ブルワーも自認する伊勢角屋麦酒の「技」だそう。
素人が飛び込み、無謀(?)とも思える企画が生まれてから3カ月がたっていた。伊勢角屋麦酒の山あり谷ありの歴史に比べればあっという間だが、この瞬間をどれほど待ちわびただろう。満場一致の「美味しい」を得てようやく完成したビールは、その日のうちに約5000本をびん詰め。ついに「産経辛口麦酒」の完成だ!
「これは美味しい」「かなりガツンとくる」好評の声続々
さて、無事に(?)大役を果たした筆者は、わが子のように愛しいビールを抱きかかえ産経デジタルに凱旋帰社。弊社社員にも実際に飲んでもらい感想を聞いてみたぞ! ビールが入ったカップを手に取り「香りがすごい」とみんな驚いている様子だ。そこかしこからフルーティーだのホップだの“ツウ”な会話が漏れ聞こえ少しプレッシャーだが…。
では、ビール片手にカンパーイ!
まずは社長がゴクリ。うん、と小さくうなずき、「これは美味しい。ちょっと値は張るけどそれだけの価値がある」と満足げ。なんと弊社一の美食家をうならせることができたぞ! 上司のSankeiBiz責任者からは「辛さと甘さが共存する味」とソムリエ級のレビューが飛び出した。
ほかにも「かなりガツンとくるね~」「冷やしたらさらにうまい」「ビールを飲んだあとに、ほかのものを口に入れるのがもったいない」などなど社内のビール党もそろって称賛。一方、クラフトビールを飲み慣れていない人からは「すっきりしてて思ったより飲みやすい」とこれまた好評だった。感想をまとめると、(1)「まずはキンキンに冷やして飲む」(2)「グビグビ飲んでのどごしを楽しむ」(3)「ホップの香りを邪魔しないおつまみを添える」-の3つが産経辛口麦酒を一層美味しく飲むコツのようだ。みなさんもぜひ試してほしい。
ビールが恋しい夏本番はもちろん、オールシーズン楽しめる納得と感動の一杯。がんばった自分へのご褒美に、家族や友人との素敵なひと時に、また大事な方への贈り物にも、ちょっぴり贅沢でおいしい産経辛口麦酒をぜひご愛飲ください。(終わり)
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この連載は、盛況のクラフトビール業界で注目を集める伊勢角屋麦酒の秘密に迫り、自称“酒豪女子”の記者が実際にビール造りに挑戦。3カ月かけて商品企画から販売まで取り組んだ。(SankeiBiz 久住梨子)
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