タカタ会長ら6人再任 経営陣に痛烈な批判相次ぐ、即刻辞任を求める声も

 
タカタの株主総会に出席するため並ぶ株主ら=27日、東京都港区

 欠陥エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題で経営破綻したタカタは27日、東京都内で定時株主総会を開き、高田重久会長兼社長を含む取締役6人の再任を提案する議案を賛成多数で可決した。再任された高田氏らは経営再建を担う支援企業への事業売却のめどがつき次第、辞任する。ただ総会では即刻辞任を求める声が上がるなど破綻を招いた経営陣の責任を厳しく批判する声も相次いだ。

 「多大なるご迷惑をかけ、おわびします」

 株主総会の冒頭、高田氏は頭を下げて陳謝した。タカタは26日に民事再生法の適用を申請。異例の翌日開催となった上、7月27日付で株式の上場廃止が決まっており、今回が上場最後の総会となった。タカタは、巨額のリコール費用で実質債務超過に陥っており、株式の価値はゼロになる公算が大きい。3月末時点で個人や自動車メーカーなど約2万5000の株主がおり、損失を迫られる。出席株主からは株式価値がゼロになることについて「仕方ない」(50代の男性)と冷静に受け止める声が多く、会場でも、怒号が飛び交うことはほぼなかったという。

 一方で、株主からは「破綻回避にはどうしたら良かったのか」「どこで経営の判断を誤ったのか」といった破綻に関して説明を求める声が続出した。それに対し高田氏は、常に謝罪を交えながら説明したというが、株主からは「総会でも高田氏は責任を人に押しつけて、逃げていた」との感想が多く聞かれた。総会では高田氏らの続投を疑問視する声もあったが、取締役6人の再任議案は原案通り承認された。

 タカタは、来年3月までに、中国企業傘下の米自動車部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)に実質的に全ての事業を譲渡する予定。高田氏は26日の記者会見で、再建のめどがついた段階で引責辞任する意向を示しており、総会でも「(譲渡の)結論が出たら、私を含めた全役員が退任する」と述べた。タカタは26日に民事再生法の適用を東京地裁に申請したが、株主総会の日程はその前から決まっていた。

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 ■タカタの株主総会に出席した株主の主な声

 「高田重久会長兼社長は都合が悪くなると声が小さくなるし、逃げてばっかりだ」(埼玉・30歳男性)

 「会長が10秒くらい言葉に詰まる場面があった。悔しい思いもあったのでは」(千葉・66歳男性)

 「会長は話が長い。オーナー企業で誰も止める人がいなかったんだろう」(東京・50代男性)

 「人命に関わる製品を提供する仕事の難しさを改めて感じた」(神奈川・59歳男性)

 「もっと前からしっかり説明責任を果たしていれば流れが変わったのでは」(京都・57歳男性)

 「最初はちょっとかわいそうに思ったが、会長は責任を人になすりつけていてがっかりした」(東京・50代女性)