タカタ再生手続き開始決定 債権者集会で「安定供給責任を優先」

 
タカタの債権者説明会に向かう債権者ら=28日午後、東京・丸の内(古厩正樹撮影)

 欠陥エアバッグ問題で経営が悪化し、東京地裁に民事再生法の適用を申請したタカタは28日、東京地裁から再生手続きの開始決定を受けたと発表した。タカタは11月27日までに再生計画案をまとめ、裁判所に提出する方針だ。経営破綻したタカタは裁判所の関与の下、再建に向けた取り組みを本格化する。

 タカタは同日、東京都内で債権者説明会を開いた。説明会には部品メーカーや金融機関など債権者約300人が出席。冒頭、高田重久会長兼社長は、欠陥エアバッグの事故に遭った被害者に対し謝罪した上で、「自動車メーカーへの安定供給責任を優先したい」と述べた。高田氏はまた、経営再建のめどが立った段階で引責辞任することを改めて表明した。

 民事再生法を申請して裁判所の管理下に入ると、債務の返済が一旦ストップする。ただ、タカタは事業の継続に不可欠な取引先に対しては裁判所の許可を前提に、すべての債務を従来通りの取引条件で支払う方針。下請け企業の倒産が相次ぎ、製品供給に支障が出るのを防ぐ狙い。

 説明会終了後、記者団の取材に応じた代理人の大川友宏弁護士は「事業継続に必要不可欠な一部の債権者には、裁判所と協議して弁済できるか相談させていただいている」と述べた。その他の一般債権者は今後の手続きで定める弁済率に応じて返済する方向だ。

 東京商工リサーチによると、タカタの負債総額は、リコール(回収・無償修理)費用を含めると約1兆7千億円に上り、製造業で戦後最大となる。帝国データバンクによると、タカタの国内下請け企業は571社あり、一般債権者は760以上にのぼる。債権者説明会は、生産拠点がある滋賀県と佐賀県で、30日と7月3日にそれぞれ開く。

 タカタは債権に対する弁済率や支払期限を定めた再生計画案を作成した後、債権者集会で提案する。タカタは来年3月までに中国企業傘下の米自動車部品会社に事業を1750億円で売却し、対価を債権者への支払いに充てる。(今井裕治)