東芝危機 半導体、原発…解体進む 再成長の道険しく

 
「東芝再成長」にはまだ道のりは険しい=21日、東京都港区(福島範和撮影)

 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却手続きにはまだ曲折がありそうだが、売却が完了して債務超過を解消できたとしても「東芝再成長」への道のりは険しい。半導体と並ぶ柱だった原子力発電事業も海外事業から撤退。新たな屋台骨に据える社会インフラ事業は国内向けが中心で、収益が伸び悩んでいるからだ。(万福博之)

 東芝の平成29年3月期連結決算で本業のもうけを示す営業利益は2700億円だが、このうち売却する半導体メモリーを含む半導体事業で2400億円を稼ぎ出した。東芝メモリを売却すれば、利益の大半が失われる。

 東芝は、不正会計の発覚後に白物家電や医療機器子会社を売却。そして米原発事業の巨額損失を受け、東芝メモリも売却する。経営危機のたびに成長事業を切り売りした結果、実質的に「解体」が進んでしまった。

 ピーク時の20年3月期に7兆6千億円あった売上高は32年3月期には4兆2千億円まで減少する見通しだ。事業規模でもライバルの日立製作所(29年3月期の連結売上高約9兆円)の背中はさらに遠のく。

 東芝が残された事業の中でエレベーターや鉄道などの社会インフラ事業を新たな柱としたのは、規模が大きいからだ。公共工事なども多く、一度受注すれば保守・管理などで継続的な実入りが見込める安定的なビジネスでもある。

 だが、同事業は国内向けが中心で収益力を示す売上高営業利益率は5%に届かず、水処理システムやエレベーター、空調などの主要分野で32年3月期にかけて利益率が横ばいにとどまる見通しだ。

 社会インフラ事業を「成長の牽引役」とするには、中国など新興国を中心とした旺盛な海外市場の開拓が不可欠だ。だが、日立など国内外の強力なライバル企業がしのぎを削る市場でもある。今後は規模の小ささが、投資や人材確保などの面でハンディにもなる。これらを克服して海外需要を取り込み、成長シナリオを描くのは並大抵ではなさそうだ。