助成金受給で企業を後方支援 ウィズアス、中小と社労士のマッチングサイト開設

 
助成金受給によって中小企業経営を安定化させる意義を語るウィズアスの前田敏幸社長=東京都新宿区

 助成金コンサルティングを手掛けるウィズアス(埼玉県川越市)は、中小企業と社会保険労務士をマッチングする日本初のサイト「助成金ドットコム」を立ち上げた。すでに30の社労士事務所が登録し、企業からの問い合わせが1日平均6件寄せられている。国からの助成金を受給することによって中小企業経営の安定化を図るとともに、社労士事務所の新規顧客開拓に寄与する。3年後には社労士事務所700カ所の登録を目指す。

 「非正規を正規雇用する」「教育訓練のための休暇を付与する」「生産性が向上するような評価制度を導入する」「人材育成のために研修を受けさせる」など、従業員のスキルアップを図ることで、中小企業は国の助成金を受け取ることができる。しかし、助成制度自体を知らない経営者も多い。申請を代行する専門家は社労士だが、種類が多く手続きが複雑なため、同社によると全体の2割ほどしか取り扱っていないとされる。

 同社は国内トップクラスの助成金申請の実績があり、豊富なノウハウを蓄積している。今年度も1000件以上を取り扱う予定とし、申請手続きに不慣れな社労士向けの講座を開くなど、助成金業務に強い社労士の養成に努めている。

 社労士業界の経営実態について前田敏幸社長は「二極分化し、一部だけが景気がよく大半が厳しい」と語る。かつては人事、総務のアウトソーシングが主な業務だったがIT化が進んだことでニーズが減り、より付加価値の高いサービスが求められるようになった。助成金申請はその一つだが、手間がかかるため、多くの社労士事務所は積極的に取り組まなかった。しかし「生き残りを図るため、取り扱う社労士が徐々に増えている」(前田社長)。

 同社では、従業員10人以下の企業について平均350万円の助成金を受給した実績を上げている。過去に経営破綻寸前になった美容サロンが助成金を得たことで盛り返したこともあるという。国税庁によると創業から5年以内に廃業する企業は85%にのぼり、助成金を上手に使うことができれば、経営を強化する上で非常に有効な武器になる。

 前田社長は「助成金受給を普及させることで中小企業経営を後方支援し、社労士業界を活性化させたい」と話している。