日欧EPA 食品値下げで消費者に恩恵 ベンツなど輸入車価格には関係せず
日本と欧州連合(EU)が経済連携協定(EPA)で大枠合意したことで、欧州産のワインやチーズ、パスタ、チョコレート菓子、豚肉などの輸入関税が撤廃もしくは削減され、事実上の値下げとなる。EUからの輸入が増えれば農家や国内メーカーにとって脅威となる一方、日本の消費者にとっては恩恵となりそうだ。
「ワインなどは品ぞろえが豊富になり、買いやすい価格になる」(日本スーパーマーケット協会の川野幸夫会長)、「積極的にセールを仕掛けたい」(イオンの岡崎双一執行役)。国内の小売り関係者は、値下げが消費喚起につながるとして、EUとのEPAをもろ手を挙げて歓迎する。
値下げが期待される代表例がワインだ。日本は輸入価格の15%か1リットル当たり125円のどちらか安い方の関税をかけているが、即時撤廃される。
一般的な750ミリリットルのボトルで最大約93円の関税がなくなり、店頭価格にも反映される見通しだ。ただ、輸入が増えることで、「日本の中小ワイナリーへの影響が懸念される」(メルシャンの代野照幸社長)。
ほかにもカマンベールといった主要なナチュラルチーズは関税率が最大29.8%と高く、1000円の輸入チーズだと200円以上も安くなる余地がある。さらに「欧州産チーズは豪州産などと比べブランド力が高い」(大手食品幹部)とされる。国内メーカーは厳しい競争にさらされることになるが、消費者には朗報だ。
一方、日本の輸入車販売の上位には、独メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン(VW)など欧州車がずらりと並ぶが、これらの国内価格には直接関係ない。そもそも日本は輸入車の関税をすでに撤廃しているからだ。今回のEPA交渉では、あくまでEUに輸出される日本車の関税が協議の対象だった。
消費に詳しい日本経済大学の西村尚純教授はEPAについて「(輸出も含め)日本経済全体にはプラスだが、節約志向が根強いなか関税が引き下げられる品目だけでは、直ちに国内消費全体を盛り上げるような力強さには欠ける」と指摘する。(大柳聡庸)
関連記事