三菱東京UFJが「フィンテック」事業を拡大 決済ベンチャーに出資
三菱東京UFJ銀行が、オンライン決済サービスを手がけるベンチャー企業に出資したことが13日、分かった。金融とITを融合した「フィンテック」事業の拡大が目的。出資金額は明らかにしていない。
出資したのは、独自の決済サービス「Paidy(ペイディー)」を展開するエクスチェンジコーポレーションの持ち株会社。メールアドレスと電話番号を入力し、その後に送られてくる認証コードを確認画面に打ち込めば決済が完了する。実際にはネット通販業者に購入者が登録した顧客情報を元に、人工知能(AI)が支払い能力などを独自審査する仕組みで、会員は後日、コンビニエンスストアや振り込みで支払う。
会員数は20~30代を中心に74万口座。ネット通販のクレジットカード利用率が、不正利用を恐れるなどして6~7割と先進国の中でも低いことに着目した。
三菱UFJ銀は、クレジットカードや代引き以外の決済手段として今後需要が伸びる可能性を踏まえ、出資を決めた。一方で、決済や融資のような銀行の得意分野に、ベンチャー企業が急速に進出していることに対しての危機感の表れともいえる。
今回の出資を機に、ペイディーの会員向けに、グループ企業の三菱UFJファクターが口座振替サービスを8月から提供。アコムがローンサービスの協業の検討を始める。
現在、フィンテックはベンチャー企業や欧米の金融機関が先行している。国内大手各行は後塵を拝し、焦っている状態だ。金融庁は昨年5月、銀行による事業会社への出資を5%まで、銀行持ち株会社も15%までにそれぞれ制限していた出資規制を緩め、ITを使って金融サービスを高度化する場合、当局の個別認可を得れば出資できるようにした。今回の三菱東京UFJ銀のケースは、5%未満の出資にとどめたもようだが、将来的な出資比率拡大も視野に入れている。
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