冬の準備は今のうちに…グッドイヤーのスタッドレスタイヤで進化を実感 オールシーズンとの使い分けは?

 
日本グッドイヤーの金原雄次郎社長と、プロダクトディレクターのジェナー・パウエル氏

 日本グッドイヤーが8月1日より発売する高性能スタッドレスタイヤ「ICE NAVI(アイスナビ)7」は、地域によって路面コンディションが変化しやすい日本の冬道に対応するために専用開発された冬用タイヤだ。同シリーズを日本市場に導入してから今年で節目の20周年。4年ぶりに刷新された7代目は、消費者ニーズに応えて氷上ブレーキ性能など大幅に向上させたという。夏本番を前に横浜市内のアイススケートリンクで行われた試乗会で、従来品との性能差を実際に試してきた。

 タイヤの冬商戦はすでに始まっている

 日本グッドイヤーの金原雄次郎社長は、まだ梅雨明けすらしていない6月末の新商品発表会で、「今年はオールシーズンタイヤの『ベクター・フォーシーズンズ』と、今回お披露目する『アイスナビ7』の2枚看板で冬商戦に臨みたい」と半年先を見据えて意気込みを語った。競争が激しいタイヤ業界では、すでにスタッドレスタイヤの商戦期は始まっているのだ。

 日本市場専用に開発した「アイスナビ7」は、氷上性能に特化しているのが特徴。地形が複雑な日本は地域による違いはもちろん、同一エリアでも時期や時間帯によって雪質が大きく変化するため、あらゆる路面状況に対応できるタイヤが求められる。当然、海外仕様のタイヤとは開発ポイントも異なってくる。「アイスナビ7」の開発を担当した技術本部長の松崎洋明氏は次のように語る。

 「日本とヨーロッパではまず雪質が違う。日本は信号が多い都市部でストップ&ゴーが多いのも特徴で、交差点の雪がタイヤで磨かれてミラーバーンと呼ばれる氷状になりやすい。日本では氷上性能が高いレベルで求められてくる。欧州より高速道路での走行速度が遅いので、スピードレンジも低めに作っている」

 実際、同社の消費者調査によると、日本のドライバーの約80%がスタッドレスタイヤに「氷上ブレーキ性能」と「氷上コーナリング性能」を求めていることが分かった。日本特有の気象条件や道路事情を徹底的に分析しながら、コンパウンドの改良やタイヤ表面に新パターンデザインを採用するなど試行錯誤を重ね、ユーザーの要求に応える性能を有するプレミアムな冬用タイヤを完成させたわけだ。

 複数性能をバランスさせる難しさ

 その成果はしっかりと数字にも表れている。「アイスナビ7」は従来品と比較して氷上ブレーキング性能が7%向上したという。旋回時のタイヤと路面の接地面積や雪柱せん断力(雪をつかむ力=グリップ力)も改善し、氷上や雪上のコーナリング性能を高めている。また、ドライ性能と耐摩耗性能を維持しつつ、ウエット時のブレーキング性能も2%向上させた。タイヤ性能の全体的なバランス取りは、スタッドレスタイヤの開発で一番頭を悩ませる部分だという。松崎氏は「ウエットやドライ、摩耗といった一般的にタイヤに求められる性能の基本レベルを維持しながら、氷上や雪上性能を向上させることが非常に難しかった」と開発時の苦労を語る。

 スケートリンクの上でいざ試乗!

 この日は実際に氷上試乗会で「アイスナビ7」と先代の「アイスナビ6」を比較するチャンスがあった。試乗車のトヨタ・プリウスとC-HRに乗ってスケートリンクを時速10キロ以下で2周するという簡単なコースだが、その途中にはS字カーブやリンク四隅の左カーブが待ち構えており、直線では時速15キロまで加速してから所定のラインで急ブレーキをかけて何メートルで停止できるのか試すことができる。

 「アイスナビ6」を履いたプリウスでもそれなりに安心して走ることができるのだが、「アイスナビ7」を装着して同じコースを走ると、想像以上に性能の違いを感じ取ることができる。S字では外側に膨らむことなく理想のラインをしっかりとキープ。緩やかな左カーブでも修正舵を加えることなく素直に曲がる。こういった悪条件下での運転は、タイヤの接地感とグリップ感がドライバーに大きな安心をもたらす。ちなみにリンクの上を歩いてみたが、ツルツルと滑ってまともに進むことすらできない。1トン以上もある物体をよくもここまでコントロールできるものだと、改めてスタッドレスタイヤの性能の高さに驚く。

 直線で速度を上げてから黄色いコーンを目印に一気にブレーキを踏み込む。プリウスとC-HRで何度か試してみたが、時速15キロを維持しながら所定の場所でピンポイントにブレーキを踏むのはなかなか難しい。結果的にクルマが完全停止するまでに要した距離にはバラつきがあったが、5メートルをオーバーすることは一度もなかった。そして、肌感覚として「アイスナビ7」の方が1メートルほど手前でストップするという手応えはあった。「アイスナビ7」の安定した走りに「4年も経つとタイヤも結構進化するもんだなあ」と思わず感心してしまった。

 スタッドレスとオールシーズンの棲み分けは?

 プロダクトディレクターのジェナー・パウエル氏は「アイスナビ7」について、「日常の通勤やスキー、スノボーといったレジャー目的など、冬の厳しい環境において最も優れるトラクションやブレーキ性能を求めるユーザーをターゲットにしている」とアピールする。一方、もう一つの看板商品「ベクター・フォーシーズンズ」は、1本で夏タイヤと冬タイヤの性能を兼ね備えたオールシーズンタイヤだ。スタッドレスとオールシーズンタイヤを使い分けるポイントは何だろうか。松崎氏に聞いてみた。

 「北海道、東北、日本海側などの降雪地帯は『アイスナビ7』の方が冬の間は安心だが、雪や氷に合わせて作っているのでゴムが柔らかい。気温が上がるとグニュっとして摩耗も早まるので、夏季は夏タイヤを使ってもらいたい。それが面倒だったり、マンション住まいで夏・冬タイヤを置く場所がない方は、オールシーズンタイヤを1年間使ってほしい。突然の雪や、東京から長野に行くようなときでも安心。仙台から南の太平洋側はオールシーズンでもいいかなというお客様もいるようだ」

 クルマと路面をつなぐタイヤは、運転手や乗員の安全を守る最も大事な部品。日本海側や山間部はもちろん、東京都内でも突然の積雪に見舞われることもある。みなさんもまだ余裕のある今のうちに、愛車の“冬支度”を始めてはどうだろうか。(SankeiBiz 大竹信生)