韓国SKが議決権要求取り下げ 東芝半導体の売却交渉、前進も

 
東芝の本社ビル=東京都港区(本社チャーターヘリから)

 東芝が売却手続きを進めている半導体子会社「東芝メモリ」について、優先交渉先の「日米韓連合」に参画している韓国半導体大手のSKハイニックスが議決権の要求を取り下げたことが19日、分かった。東芝や、連合を主導する官民ファンドの産業革新機構が、東芝メモリと競合するSKの議決権取得で独占禁止法の審査が長期化すると反発しているため、経営への関与を伴わない融資にとどめる。SKの要求取り下げで、停滞している交渉が前進しそうだ。

 米投資ファンドのベインキャピタルと組んで東芝メモリ買収を目指していたSKは、革新機構や日本政策投資銀行などの「日本連合」に合流した際、融資にとどめることを約束していた。

 だがその後、融資に転換社債(新株予約権付き社債)を組み合わせて議決権を取得する方針に転換。交渉が難航する要因となっていた。

 東芝メモリの売却には、東芝と工場を共同運営する米ウエスタン・デジタル(WD)が反対し、訴訟合戦に陥っている。関係者は要求取り下げの理由を「WDが東芝と和解することでSKが連合からはじかれ、業界で孤立するのを避けたのではないか」と話す。取り下げの意向はベイン経由で東芝にも伝えられたという。

 一方、日米韓連合では、革新機構と政投銀で東芝メモリ株の過半を握りつつ、ベインの出資割合を当初計画の33.4%程度から半減させ、16%台にとどめる方向で調整している。これにより、SKが買収完了後にベインから株を譲り受けたとしても、経営に深く関与することはできず、技術流出も防げるとみている。

 ただ、東芝では優先交渉先に選んだ日米韓連合との交渉が予想以上に難航しているため、ここにきてWDや鴻海(ホンハイ)精密工業とも並行して協議する姿勢に転じている。

 関係者によると、東芝内部には提示額で日米韓連合を上回る鴻海への売却を主張する意見もあり、いまだに完全な意思統一はなされていないという。日米韓連合とは、WDとの訴訟で売却が差し止められた場合に再協議する条件付きで契約する方向だが、交渉はなお曲折が予想される。