韓国の事例に見るマネロン対策
遊技産業の視点 Weekly View□シークエンス取締役、LOGOSインテリジェンスフェロー・木村和史
マネーロンダリング(資金洗浄)を放置すれば、テロや組織的犯罪の温床となるばかりか、健全な経済活動の発展を阻害する要因にもなりかねない。このため国際社会ではさまざまな制度を講じ、連携して対策の強化に努めてきた。
現在、対策のシンボル的存在となっているのが、1989年にG7諸国を中心として発足したFATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)であり、1990年にFATFはマネーロンダリング対策のガイドラインとして金融機関を対象とする「40の勧告」を策定した。しかし、インターネット社会の到来など時代の流れにより、ステレオタイプな金融機関を経由せずにマネーロンダリングをするケースも増えたため、「40の勧告」は改定され、指定非金融業者も含まれることになり、ここに不動産業者などとともに、カジノ運営事業者が含まれることになった。各国のマネーロンダリング対策は、この「40の勧告」をベースに指針が決められているわけである。
さて、すでにカジノが解禁されている隣国・韓国でのマネーロンダリング対策はどのようになっているのか。韓国にはこれに関わる主要な機関として、韓国金融情報分析院がある。同組織は、金融会社などからマネーロンダリング関連の疑わしい取引の報告など金融情報を収集および分析し、それを法執行機関に提供する唯一の中央行政機関である。2001年9月にマネーロンダリング防止の基本法律として特定金融取引報告法と犯罪収益規制法が作られ、同年11月28日の施行とともにマネーロンダリング防止業務の担当の中央行政機構として金融情報分析院構築団が設立された。これにより、(1)金融会社が疑わしい取引を報告し、(2)本院が審査・分析して検察、警察などの法執行機関に情報を提供して、(3)資金洗浄を犯罪として処罰する、マネーロンダリング防止の基本体系が構築された。その後、2008年からは所属が国務総理傘下の金融委員会に移り、韓国金融情報分析院との名称で現在に至る。
日本版IRの実現に向けた動きの中、厳格なマネーロンダリング対策は避けては通れない。政府がどのような対策を講じ、社会の納得を導くのか注目される。
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【プロフィル】木村和史
きむら・かずし 1970年生まれ。同志社大学経済学部卒。大手シンクタンク勤務時代に遊技業界の調査やコンサルティング、書籍編集に携わる。現在は独立し、雑誌「シークエンス」の取締役を務める傍ら、アジア情勢のリポート執筆など手掛ける。
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