閑散期なくすスポーツツーリズム
Bizクリニック■JWEL代表取締役・五味隆介
観光による地域活性化で最も大切なことは繁忙期と閑散期の波をできるだけ平坦(へいたん)にし、季節に関係なく消費者を増やすことだ。閑散期をなくす有効な施策にスポーツツーリズムがある。
7月上旬から真夏日や猛暑日が各地で観測され、今年の夏も暑くなりそうだ。観光地では夏を迎え、一年で最も忙しい時期に入る。花火、祭り、海、山と観光客でごった返す。官公庁や企業では、長期休暇をスライドさせることにより、帰省ラッシュなどの集中を避ける取り組みも行われているが、実情はそれほど変わっていない。
筆者が観光振興をお手伝いしている伊豆半島の静岡県伊東市では8月10日の祭り、花火大会をピークに夏休み期間中、たくさんの観光客が押し寄せる。どこに行っても人、人、人。幹線道路は大渋滞で、東京に帰るのに8時間かかったこともある。
それが9月に入ると、いつもの街に戻る。海の家はなくなり、観光客は一気に減る。観光客に対して商売をする人たちは、店を休みにしてしまうところもある。8月と様変わりし、活気に乏しい街並みになってしまうのだ。
ところが最近、伊豆半島を車で走っていると、サイクリングを楽しむ観光客とよくすれ違う。伊豆半島東海岸を走る国道135号は、海と山の絶景が続く。サイクリングは移動そのものがレジャーであり、景色を楽しみ、その過程で諸所に立ち寄る。伊豆半島でサイクリングを楽しむ人は、一年を通じてあまり変動がなく、よく見かける。
暑い夏だけでなく、秋や春にもその季節それぞれの楽しみがあり、その方が快適にサイクリングできる。冬でも海岸線ではほとんど凍結することのない温暖な伊豆半島は、サイクリングにとって最適の地といえるだろう。
サイクリング以外でも、スポーツを楽しみにして観光に訪れる人は、その土地の観光シーズンの繁忙期、閑散期に関係なく、スポーツの季節周期に合わせて来訪する。観光地の閑散期をなくすために、スポーツツーリズムは効果の高い施策となり得る。
地域によって観光資源は異なる。例えば、伊東市はスキューバダイビングのメッカだ。これはマリンスポーツなので夏がメインとなる。一方で優良なゴルフ場が4施設ある。温暖な気候のため霜が降りず、最大の閑散期である冬場に適している。
このほか団体スポーツであるサッカー、野球、ラグビーなどは楽しむ季節がさまざまで、1回当たりの集客数も大きい。これらのスポーツツーリズムは趣味をはじめ、合宿、大会、スクール、サークルなどの需要があり、動員力が期待できる。
観光地の繁忙期、閑散期の落差の解決に向け、地域に合ったスポーツツーリズムを検討してはいかがだろうか。
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【プロフィル】五味隆介
ごみ・りゅうすけ 米パームスプリングズ高(カリフォルニア州)卒。サンディエゴ州立大中退。1997年JALプラニング(現JALブランドコミュニケーション)入社。2004年5月JWELを設立し、現職。企業・団体の新規事業、地域の観光プロジェクト、ローカルメディアをサポート。42歳。東京都出身。
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