サントリー、エコペットボトル開発に挑む 「植物由来100%」実用化目指す
サントリーホールディングス(HD)が環境にやさしいペットボトルの開発に力を注いでいる。ペットボトルの軽量化をはじめ、ペットボトルに使用する樹脂の使用量を削減したり、再生樹脂の活用などに取り組むことで、省エネ化、コスト削減にもつなげたい考えだ。
◆極限まで軽量化
ペットボトルは、汎用(はんよう)プラスチックのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂と呼ばれる石油由来の原料でできている。ペットボトルに使う合成樹脂量を減らせば、石油使用量が減少し、ひいてはエコにもつながる。
そこで同社が挑んだのが、ペットボトルの軽量化だ。ボトルの形状や成型技術などを見直したほか、原料の一部を石油由来から植物由来に置き換えた。さまざまな改良を加えた結果、1990年に80グラムあった「サントリー天然水」の2リットルのペットボトルの重量は2013年には約62%減の29.8グラムを実現した。同じく550ミリリットルは13年には96年比約65%の11.3グラムのボトルを導入した。
取り組みはボトル本体にとどまらず、キャップも対象だ。キャップはポリエチレンと呼ばれる石油由来の汎用プラスチックでできているが、植物由来原料を30%使用したキャップの開発に成功。同社によると、従来のキャップと比べて石油由来原料の使用量を約35%、二酸化炭素(CO2)排出量を約27%それぞれ削減できるという。導入は現在、「天然水」の550ミリリットルボトルのみだが、17年末にかけて2リットルボトルにも広げていく予定だ。
また、ボトルのラベルの環境負荷低減にも乗り出している。14年にはラベルの厚さを16マイクロメートルから12マイクロメートルへと薄くしたほか、原料は再生PET樹脂を80%使用している。さらに、ラベルの印刷を揮発性有機化合物(VOC)の発生をほぼ抑えることができる水性フレキソ印刷を導入した。
ラベル印刷工程でほとんど熱を使わないため、CO2排出量は約79%削減につながった。同印刷のラベルは天然水やウーロン茶など一部の商品にとどまるが、順次、他の商品にも広げていく方針だ。
同社が持つエコペットボトルの技術は海外グループ企業の商品にも採用が広がっている。14年に買収した米ウイスキー大手ビームでもPET樹脂の使用量を減らしたボトルを導入している。同社傘下のサントリーMONOZUKURIエキスパート(東京都港区)でペットボトルなど容器の開発などに当たるSCM本部包材部の岸重信部長は「とくに欧州の消費者の環境意識は高く、当社グループが持つペットボトル技術はブランド価値の向上にもつながる」と期待を寄せる。
◆植物由来100%へ
今後、ボトルのさらなる軽量化が進むと思われるが、「軽量化はほぼやり切った。さらなる軽量化は難しい」(岸氏)と明かす。
ボトルは使い勝手が求められるからだ。例えば、「天然水」の現行ボトルの薄肉化をさらに進めると、開封する際にボトルを握ると強度が足りず、水がこぼれてしまう恐れがあるためだ。それだけにペットボトルには「環境配慮」と「使いやすさ」の両立が求められている。
サントリーHDが目下、注力しているのが、ペットボトルのバイオ化だ。同社は米バイオベンチャー企業、アネロテック(ニューヨーク州パールリバー)と共同で植物由来の原料を100%使ったペットボトルの開発に乗り出している。両社はペットボトルの原料の70%を構成するパラキシレンをサトウキビなどの食用の素材ではなく、木材(ウッドチップ)を使用するという試みに挑んでいる。ウッドチップを使うのも食料用原料のサプライチェーンに影響が出ないようにという配慮からだ。アネロテックはウッドチップに含まれる成分からPET樹脂の原料を取り出す技術を持っている。ただ、「実用化に向けた課題は多い」(岸氏)という。取り出す原料はまだ少ないうえ、コストが高いためだ。こうした課題を克服し、21年以降の実用化を目指している。(松元洋平)
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