「日本の農業に貢献したい」 農薬散布の中国最大手が参入

ドローンタイムズ
記者発表で質問に答えるXAIRCRAFT創業者のひとりJustinGONG氏

 中国・広州に本社を置くXAIRCRAFT(广州●▲科技有限公司)の日本法人、XAIRCRAFT JAPAN株式会社(大城智広代表取締役)は、農薬散布型UAV「P20 2017」の販売とサービスの提供を開始すると発表した。XAIRCRAFT社は中国で農薬散布機の最大手だ。

 今回発表されたUAV「P20 2017」は、RTKの搭載でGPSよりも精度の高い位置情報を取得でき、「センチメートル単位」での細かい航行精度を実現し、離陸から散布、着陸までの完全自動航行と完全自動散布が可能となった。

 手順としては用意されている固定局と移動局の2種類のRTKを使う。まず固定局GNSSアンテナ設置後、移動局で散布予定の圃場の範囲を設定する。これによってドローンは決められた範囲を安定して飛行し、正確に散布をする。

 コントローラーは同社が新たに独自開発した「SUPER X2 RTK 農薬散布型UAV フライトコントロールシステム」。離れた場所から作業を管理することができるうえ、機体の飛行状況や薬剤の残量、噴霧量なども確認できる。Androidベースの専用のスマホ型コントローラーAPP2で操作ができる。

 また手間のかかるバッテリーとタンク(ケミカルタンク)もカートリッジ仕様になっているなど工夫されていて、煩雑な作業なしで交換が可能だ。可変速度アトマイザーを搭載していて、風量など状況に応じて液滴調整が可能となっている。日本で需要の高い粒材には現在は対応していない。

 記者発表に出席したXAIRCRAFT創業者のひとりJustin GONG氏は「日本では販売とリースで年間3000機の普及が目標だ。日本の農業に貢献したい」と意欲を語った。

 同社は2007年に創業し、ドローンは当初空撮系を開発したが、2014年から産業用に転換、農薬散布ドローンでは中国国内トップのシェアを誇っている。トラブルに対するサービスや日本での自動航行には法改正など課題も多いが、今後は日本市場で目の離すことのできない存在となりそうだ。(渡辺照明)

●=木へんに及

▲=飛の簡体字