ナカムラマーク、刺繍アクセサリーで市場開拓 「技術+発想」で他にない商品を

 
開発した刺繍アクセサリーシリーズ

 2004年のアテネ五輪で長嶋茂雄監督が率いた野球日本代表「長嶋ジャパン」は銅メダルに輝いた。このときのユニホームに刺繍(ししゅう)で「JAPAN」や「NAGASHIMA」「3」などをマーキングしたのがナカムラマークで、一躍名前を知られる存在になった。刺繍への高いこだわりが認められたわけだが、スポーツユニホームで培った技術を生かして「他にはない」(中村哲也社長)という刺繍アクセサリーで市場開拓に挑む。

 中村氏は「ユニホーム分野は売り上げのほとんどが4~6月に集中する。繁忙期にあわせて人材や設備を用意するので閑散期は苦しい。売り上げと雇用の平準化のため、一年中売れるアクセサリーに注目した」と進出理由を話す。

 13年の社長就任前から温めていた構想は昨年4月、刺繍ピンバッジ「和っぴん」(540円)で実現した。浅草(東京都)や鎌倉(神奈川県)、川越(埼玉県)といった若い女性や訪日外国人が訪れる観光地の土産店やショッピングモールなどで販売しているが、「富士山、だるま、忍者は(置けば間違いなく売れる)鉄板商品」と中村氏は笑う。

 思惑通り受け入れられたことから第2弾として昨年8月に刺繍ステッカー「クロスステッカー」(400円)、第3弾として今年5月にヘアカフス「和んぐる」(972円)を発売した。

 刺繍のアクセサリーシリーズ第4弾も待ち構える。刺繍ピアス「Embroidery earrings(エンブロイダリーイヤリングス、1800~2000円)」で、中村氏は「すでに女性に支持されている販売店から要望がある。また、メタリック糸を使用することで宝石のような輝度のあるピアスになるので『当たる』と確信している」と断言。8月から販路開拓に乗り出しており、12月からの本格販売を目指す。

 このピアスこそ、刺繍にこだわってきたナカムラマークの面目躍如といえる。「和っぴん」と同様、刺繍に金属を取り付ける特殊技術が求められるが、それとは比較にならないほど精密な作業を強いられる。デザインのデータ化などにも時間がかかった。持ち前の技術力を磨いて対応したため「刺繍のスタッド式ピアスを工業的に生産できるのはおそらく世界で当社しかないと思う」と胸を張る。

 同社には「技術+発想」という考えが根底にある。「持っている技術を客観的に認識し、発想の転換によってさらなる技術革新を促し、世の中にない商品を生み出すこと」と中村氏は解説する。これが刺繍アクセサリーの開発につながった。

 現状では「知る人ぞ知る」存在に過ぎないが、会員制交流サイト(SNS)などを活用し刺繍アクセサリーシリーズの知名度を上げ、売り上げを16年12月期の500万円から20年12月期には3000万円規模に引き上げる考えだ。「既存商品と併せて1億円を狙う」と中村氏のモチベーションは高い。

【会社概要】ナカムラマーク

 ▽本社=松山市今在家3-7-19

 ▽創業=1970年3月

 ▽資本金=300万円

 ▽従業員=15人

 ▽事業内容=スポーツウエアマーキング、繊維製品への刺繍加工など