被災企業、大手との連携好調 復興庁、実績300件 新商品も
東日本大震災で被災した企業と、被災地外の業界大手の企業をつなぐ復興庁の取り組みが実績を伸ばしている。大手の企画力やノウハウを生かして被災企業の商品開発などを後押しするのが狙いで、これまでに約300件の事業が具体化した。間もなく震災から6年半。一部で足踏みが続く被災地の産業再生につながればとの期待もある。
◆地元レシピを提供
フカヒレの産地で有名な宮城県気仙沼市。魚市場近くの観光施設で、サメ肉のすり身を使ったドーナツ風の揚げ菓子が売られている。被災企業と大手企業を結ぶ復興庁のイベント「結の場」での出合いから生まれた商品の一つだ。
特産のサメを使った観光客向けの新商品を考えていた気仙沼市の阿部長商店に対し、森永乳業(東京)がドーナツのレシピを提供した。同商店の担当者は「お菓子という発想はなかったので驚いたが、チーズも混ぜてさっぱりとした味になった。知名度を上げ、気仙沼の魅力を発信したい」と意気込む。
復興庁が民間出身者を活用していることも、スムーズな事業化の追い風に。森永乳業から復興庁に出向していた渡辺光典さん(37)は「結の場に参加する食品メーカーの数が少なかったので、被災地の役に立ちたくて会社に掛け合いました」と振り返った。
◆膝を突き合わせて
結の場は震災翌年の2012年11月に始まり、これまでに18回開催。ワークショップ形式のマッチングイベントに、被災企業約150社、大手は延べ約470社が参加した。取引先を見つけるだけの商談会とは違い、被災企業と大手の担当者が膝を突き合わせて話し合うのが特徴だ。
会場では、被災地の現状や課題をめぐって双方が活発に意見交換。こうして生まれた支援方法は、商品開発や販路拡大だけでなく、安全管理体制へのアドバイスや人材育成セミナーの開催など多岐にわたる。大手企業側にとっても、震災復興に貢献する社会的責任を果たすほか、町づくりが進む被災地で新たな商機につながるメリットがある。
◆息の長い取り組み
16年7月時点の東北経済産業局のアンケートによると、青森、岩手、宮城、福島4県で被災し、国の支援を受けた6146事業者のうち、売り上げが震災前の水準以上に回復したのは45.2%にとどまる。産業再生は道半ばで、息の長い支援の取り組みが必要だ。
オフィス家具大手のイトーキ(大阪市)は、木材製造販売のマルヒ製材(岩手県久慈市)と共同で、岩手県産のアカマツを使ったベンチを開発した。20年東京五輪・パラリンピックに向け、空港や駅など公共施設での需要を見込んだ商品で「将来的に販売先を広げていきたい」(イトーキ)と中長期的な戦略を描く。
復興庁は、今年10~11月に岩手、宮城、福島3県で結の場を計4回開催する予定。担当者は「来年以降も続けたい。大手側の参加企業の顔触れが固定しつつあるので、さらに多くの企業に関心を持ってほしい」と呼び掛けている。
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