荷物受け取りやすい早朝深夜、AI活用し効率的に宅配 孫正義氏も「面白い」
トップは語る□マジカルムーブ社長 武藤雄太さん(37)
--午前6時~9時と午後10時~午前0時に人工知能(AI)を活用して効率的に宅配するサービス「スキャッチ」を2年前に始めた。事業化のきっかけは
「EC(電子商取引)の利用者として荷物をなかなか受け取れないことを課題に感じていた。3年前にAIなどの技術でこの課題を解決する事業提案を孫(正義ソフトバンクグループ)社長らの前でプレゼンしたところ、『面白いので進めてみろ』ということになって始めた」
--3年前は今ほど再配達削減や宅配業者の人手不足が問題になっていなかった。なぜAIを使って再配達削減に取り組もうと考えたのか
「ECの伸びに伴って配送網への負担増も予測が付いていた。現在のテクノロジーを活用することで宅配業者の助けになるかもしれないと考えた。『スキャッチ』専用のAIを社内で内製している。まだ完成形、最終形ではないが、実用レベルで活用している」
--内製したAIをどう活用しているのか
「宅配便のドライバーは配る順番などを経験から蓄積しているが、これは最適化や自動化しやすいのでAIを活用して効率的に宅配することができると考えた。何時にどこに配達するなどの情報を自動化するアルゴリズム(計算処理の手順)を作っている」
--スキャッチは同じソフトバンクのグループ会社、アスクルの個人向けECサイト「ロハコ」で活用されているが、他のECサイトへの展開は
「この商品を買ったときにこのサイトでは『スキャッチ』が使えないということがないよう、グループか、グループ以外かなどの区別なしに世の中の需要に応えたい。ただ、サービスを急拡大するつもりはない。ドライバーからの苦情などを基にまずはサービスの品質を上げていく段階だ」
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【プロフィル】武藤雄太
むとう・ゆうた 2007年ソフトバンク入社。14年に人工知能(AI)を活用して宅配するサービス「スキャッチ」を提案。17年5月、スキャッチを提供するソフトバンクのグループ会社、マジカルムーブの社長に就任。
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