ぎょうざの満洲、出店は「駅のそば」 女性従業員が半数、中華鍋にも工夫

埼玉発 輝く

 ■国産素材にこだわり、毎日食べても飽きない味に

 「3割うまい」のキャッチフレーズで有名な中華料理チェーン「ぎょうざの満洲」。「『うまい、安い、元気!』でうまさが3割増し」というのが本来の意味だが、実は原材料費、人件費、諸経費をそれぞれ3割ずつにする“バランス経営”の意味もある。店舗を増やして原材料を大量に仕入れ、その購入費を圧縮した分をさらに良い食材に向けることで価値の高い商品を再生産し続けているのだ。

 出店は「駅のそば」

 ギョーザの皮は北海道産、麺は栃木県産の小麦粉を使用。野菜も契約農家や自社ファームで生産する国産素材にこだわる。ギョーザの具材はたれの一部を除き、豚肉、キャベツ、ニンニクなどすべて国産。豚肉は主に青森県産のものを用い、堵畜後1週間以内の生肉を使用しているため独特の臭みがない。

 「肉と野菜のバランスがよくて臭みがない。家族の口にあうんです」と話すのは、北浦和駅西口店の常連、さいたま市桜区の主婦、五十嵐富美子さん(52)。5年ほど前、「おいしいから食べて」とご近所からいただいたのが「ぎょうざの満洲」との出合い。以来、週1回は生ギョーザをテークアウトし、家族4人で3パック(36個)をぺろりと平らげてしまう。

 ひたむきな努力は消費者に伝わっているようだ。店頭では、イートインだけでなく、テークアウトの客も後を絶たず、ランチタイムには店員がレジから離れる暇がないほどだ。

 1964年、所沢市で中華料理「満洲里」として創業。現在は埼玉県(48店舗)、東京都(28店舗)を中心に86店舗を運営するまでになった。震災などのリスク分散の視点から関西にも8店舗を展開。「売上高は20年以上にわたり、平均約10%で伸び続けています」(同社広報)。

 創業者の金子梅吉会長の教えを守り、原則的に「駅のそば」に出店する。第1次オイルショック時に郊外の飲食店が苦境に陥ったのを目の当たりにした経験から得た教訓だ。

 「安心・安全な食材」で「毎日食べても飽きない素朴な味」を目指してきた。毎日36万個以上の餃子を坂戸工場(埼玉県坂戸市)で製造し、独自の物流システムで開店前の店舗に配達する。需要が高まる12月には、50万個生産する日もあるという。

 国産食材の消費拡大を評価され、「フード・アクション・ニッポンアワード2013」入賞。ギョーザは埼玉県の「彩の国優良ブランド品」でもある。

 女性従業員が半数

 98年、金子会長の娘、池野谷ひろみ社長が就任。イメージキャラクター「ランちゃん」のモデルでもある。女性目線のマネジメントも特徴だ。社長、常務、営業部長など多くの幹部が女性で、パートを含む従業員の約半数が女性。中華鍋は女性でも振れるように軽量化しているほどだ。

 アイデアが豊富で、会社の精神を従業員に知らせようと、自ら社歌をつくったこともある。2009年4月から、0.5玉のラーメンとギョーザなどを合わせる「ハーフ麺セット(現満洲ラーメン0.5玉と餃子)」を始めたが、「ラーメンと餃子を食べると、ちょっと多かったから」と池野谷社長自身が発案したものだ。

 東京商工リサーチの調査では、埼玉県内の女性社長は1万4000人を超え、全国で5番目に多い。能力が高くて事業意欲のある娘に経営を託す企業が増えているという。そんな2代目社長のもと、今後も力強く伸びていきそうだ。(池田証志)

【会社概要】ぎょうざの満洲

 ▽本社=埼玉県坂戸市にっさい花みず木1-4-1 ((電)049・288・7100)

 ▽設立=1972年7月1日

 ▽資本金=1億円

 ▽従業員=1854人(2017年7月現在)

 ▽売上高=約77億円(17年6月期)

 ▽事業内容=中華料理店の経営・食品製造販売

 □池野谷ひろみ社長

 ■思いついたらすぐ行動

 --「おいしい餃子で人々を健康で幸せに」というスローガンはどこから

 「社長になりたてのころ、お客さまから『おいしい餃子で人々を幸せにするいい仕事をしてますね』というメールをいただいた。会社の目的を考えていた最中だったので『これだ』と」

 --具体的な取り組みは

 「働く従業員が健康で幸せでなくてはいけないと思ったので、たばこをやめた人に健康手当を出した。家族との時間を持ってほしいので、閉店時間を早めた。売り上げも減らず、良い効果が出ている」

 --自ら社歌をつくった

 「会社の規模が大きくなると、従業員みんなが同じ方向を見て前向きに取り組むのが難しくなる。社歌に会社の思いを詰め込んで歌えば思い出すと思った。思いついたことを行動に移すのが早いとよく言われる」

 --ギョーザのほか、麺や総菜なども自家製にしているが

 「創業以来、麺もギョーザも全部自社でつくることにこだわっている。その方がおいしいし、安全・安心にもつながる」

 --接客で配慮していることは

 「お客さま目線でのおもてなし。自分がお客さまになったときにどんなおもてなしを受けたいかを考えるようにしている」

 --趣味は

 「マラソン。週2回、朝に8キロを1時間くらいかけて走る。フルマラソンやハーフなど年に6回ほど大会に出ている。先日はサロマ湖ウルトラマラソンで50キロ走った。『継続は力なり』と言うが、諦めないで続けることが大事だと感じる」

 --会社を継いだ気持ちは

 「父の時代から男女関係なく活躍できる環境があったので、抵抗はなかった。お客さまの声のおかげで成長してきた会社。今後も今まで通り、無理せずに、階段を上るように一歩一歩進んでいきたい」

【プロフィル】池野谷ひろみ

 いけのや・ひろみ 1982年嘉悦女子短大卒。86年ぎょうざの満洲入社。98年から現職。2006年第23回優秀経営者顕彰で、女性経営者賞を受賞。埼玉県出身。

■ □ ■

 ≪イチ押し!≫

 ■0.5玉でのラーメン注文が可能

 「ラーメンもギョーザも食べたいけど、両方食べるとおなかがいっぱいになってしまう…」。そんな女性や高齢者のニーズに応え、ラーメンメニューをすべて0.5玉で注文できるメニューを用意した。

 女性社長ならではの心遣いが垣間見られるが、「チャーハンをプラスして食べる男性もいます」(谷口龍一北浦和駅西口店長)と、幅広い層に受けてヒット商品になった。1玉のセットは626円。0.5玉は594円と若干、お安くなっている。

 ハーフサイズが用意されているのは、ラーメンだけではない。ザーサイ、メンマ、キムチといったおつまみ類も、ほぼ半額の86円。家族連れの姿が目立つ店内だが、「少しずついろんなものを食べたい」という“お一人様”も温かく迎えてくれる。