「キユーピーライト」
フジテレビ商品研究所 これは優れモノ□キユーピー マヨネーズタイプ調味料「キユーピーライト(80%カロリーカット)」
■卵香味油でコクとうま味引き出す
健康ブームの中で、野菜が改めて見直されている。東京都内にはサラダをメインディッシュにしている専門店もあるほど。今回の「これは優れモノ」は、食卓でサラダソースとして愛され続けている調味料を取材した。
「マヨネーズは、私たち作り手が考える以上にいろいろな料理に使われています」と調味料としての万能性を強調するのは、キユーピー家庭用本部マヨネーズ・マヨ類チームの渡辺智子さん(41)。
渡辺さんはスープやパスタソースの担当を経て、2年前からマヨネーズなどの企画・開発に携わっている。
マヨネーズはサラダにかけるだけでなく、料理の下ごしらえなどに欠かせない万能調味料だ。同社が日本初のマヨネーズを誕生させたのは、1925(大正14)年。以来、看板商品としてマヨネーズといえばキユーピーというブランドを確立させてきた。それだけに、「マヨネーズ類のリニューアルや新商品開発などでは、他の商品以上に気を使います」と渡辺さんは話す。
◆二律背反する命題に挑む
マヨネーズ発祥の地は、地中海に浮かぶスペイン領のメノルカ島。18世紀に、この島の港町マオンの料理店で出されたソースがパリに渡り、マオンのソースとして評判になった。このソースが、やがて「Mayonnaise(マヨネーズ)」と呼ばれ世界に広まったという。
「わが社の創業者は、日本人の体格向上を願って、米国で見た栄養価の高いマヨネーズの独自開発を志しました」(渡辺さん)。マヨネーズの原料は、卵、植物油、酢、塩の4つ。特に卵は鮮度の良さや鶏の健康状態が重要という。
卵は、卵黄、卵白、卵殻で構成され、全重量の32%に当たる卵黄部分は栄養価が高く、各種ビタミンのほか、カルシウム、リンなどのミネラルが集中している。
キユーピーのレギュラータイプのマヨネーズでは、この卵黄部分だけを使うことで、発売当時から変わらぬコクとうま味を守り続けている。
栄養価の高いマヨネーズだが、カロリーや健康を気にして、摂取を抑える人も多い。そこで、同社では1980年以降、健康を意識した商品づくりを開始。91年には、カロリーが従来の半分になった「キユーピーハーフ」を発売するなど、マーケットニーズに対応してきた。
◆“逆転の発想”で可能に
渡辺さんは「現在の消費者は、これまで以上においしくて、カロリーも低い食品を求めています」と二律背反する命題に挑んだ経緯を説明する。90年以上の歴史を持つ「キユーピーマヨネーズ」のコクとうま味を保ちながら、カロリーは80%カットするという目標を掲げた。
カロリーをカットするには、油を減らせばいい。しかし、それではコクやうま味などのおいしさが犠牲になる。研究部隊とともに試行錯誤の末、たどり着いたのが、香りだった。
「マヨネーズタイプの調味料のキユーピーライトは、新開発の卵香味油(たまごこうみゆ)を加えることで、おいしさのもとになるコクとうま味を引き出すことに成功しました」と、渡辺さんは不可能を可能にした“逆転の発想”を笑顔で語った。
◇
≪interview 担当者に聞く≫
□キユーピー 家庭用本部マヨネーズ・マヨ類チーム 渡辺智子氏
■マヨネーズの卵の香り 凝縮・開発に1年半
--商品開発のいきさつは
「カロリーカットのマヨネーズ類は、4半世紀以上前に開発している。消費者は、単なるカロリーカットだけでは満足しておらず、おいしさとか機能性を求めている。コレステロールを吸収しにくい成分を入れたノンコレステロールのマヨネーズタイプの調味料や血圧が高めの人向けにアマニ油入りのマヨネーズなども市場に投入してきた。今回の80%カロリーカットのキユーピーライトは、レギュラータイプのおいしさをそのままに、カロリー低減を実現した商品だ」
--開発は短期間で
「カロリーを減らすには、油を減らせばいいが、これではおいしさが犠牲になる。おいしさを引き立てるのが香りだと気づき、マヨネーズの卵の香りを凝縮した卵香味油の開発に行きつくまでに、1年半ほどかかった。当時は、現行の75%から80%にカロリーのカット率を上げることにどんな意味があるのかといわれたこともあった。消費者は、少しの変化にも敏感に反応するし、ニーズはあると判断した。技術的には、さらなるカロリーカットも可能ではあるが、これではわが社の目指す独特のマヨネーズの味は実現できないと考えている」
--卵黄だけのマヨネーズにこだわっている
「レギュラータイプのマヨネーズは、発売当初から高い栄養価とおいしさにこだわり、卵黄部分を使っている。おいしさは卵の持つ香りが大事なので、卵の鮮度や鶏の栄養状態、衛生面などにも気を配り、厳選した卵で生産している」
--キユーピーライトのおすすめの使い方などは
「普通のマヨネーズと同様に、サラダのほか、パンにつけて焼いたりなどさまざまなレシピに活用できる。カロリーを気にしてマヨネーズを控えていた人や、カロリーカットはおいしくないと思っている人にもぜひ使ってもらい、おいしさを再発見してもらいたいと思っている」
◇
■フジテレビ商品研究所
「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」内に設けられた研究機関。「美容・健康科学」「IPM(総合的有害生物管理)」「食品料理」「生活科学」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究している。
http://www.fcg-r.co.jp/lab/
関連記事