ポイントサービス戦国時代 狙うは「現金化」、“4大陣営”つばぜり合い
買い物をすると金額に応じて貯まるポイントサービス。さまざまな小売店やサービス業で使えるTポイント、Ponta(ポンタ)、楽天スーパーポイント、dポイントの「4大共通ポイント」を軸に、つばぜり合いを演じている。合従連衡、くら替え、独立などまさに戦国時代。「どこでも使える現金のように」との野心的な目標も飛び出した。(藤谷茂樹)
合従連衡
ポンタを運営するロイヤリティマーケティングと、dポイントのNTTドコモは平成27年12月に業務提携し、加盟店によっては両方のポイントを使えるようになった。「利用者の選択肢が広がるメリットがある」(ロイヤリティマーケティング広報)とアピールする。
コンビニのローソン、スーツ店のAOKI(アオキ)では両ポイントが使える。来年春にはスーパーのライフも続く予定だ。
昨年、ポンタ、dポイントと相次いで導入した高島屋では、ポイントカード提示を伴う売り上げは全体の2%弱から4%以上に伸びた。「30~40代の新たな客層が来店している」といい、8月は化粧品の購入でポイントアップするキャンペーンなどを展開した。
一方、日本マクドナルドは今年3月からdポイントを全国の店舗で導入したが、ポンタは扱っていない。ただ、6月から楽天スーパーポイントを導入、と勢力図はやや複雑だ。
くら替えと独立
コンビニのサークルKサンクスは8月からTポイントの導入を始め、9月末で楽天スーパーポイントの扱いを終了する。くら替えともいえる動きだ。Tポイントを扱うファミリーマートと統合するためで、同社広報担当者は「Tポイントの認知度は高く、来店動機にもなる」と説明した。
一方、三越伊勢丹は来年3月末をめどに共通ポイント「Tポイント」のサービスを終了すると発表した。同社のクレジットカード「エムアイカード」の利用が「三越、伊勢丹以外でも増えた」(広報担当者)ことを踏まえ、カードと連携する「エムアイポイント」サービスの拡大を目指し、Tポイントからの独り立ちを選んだ格好だ。
阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングも、自社ポイントの強化を目指している。展開する「Sポイント」を関西のセブン-イレブン店舗でも使えるよう準備を進めている。
ポイントの行く先は
流動的なポイントサービスの勢力争いの落ち着く先はどこなのか。楽天の三木谷浩史会長兼社長は、ショッピングサイト「楽天市場」の出店者に向けた大阪市内での講演で「できるだけ『現金』に近づけること」が鍵だと指摘した。
楽天は今年2月、通販やクレジットカードの楽天会員IDと連携した決済サービス「楽天ペイ」を開始した。スマホの専用アプリを通じ、バーコードやQRコードを提示すると実店舗で支払いができるサービスで、楽天スーパーポイントに加盟していない店舗でも楽天ペイを通じてポイントでの支払いができることが特長だ。
通販が主戦場だった楽天のポイントが、実店舗でも「流通」する道を大きく広げる仕組みといえる。三木谷氏は「どんどん通貨に近づいていく」と表現する。
加盟店を広げることで、使える場所を増やしてきた各ポイント制度。より便利にするための、プラットホーム(基盤)作りの競争も熱を帯びそうだ。
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