三菱地所、照明LED化で電力使用量4割削減 10月から再生エネに切り替え
eco最前線を聞く■三菱地所 環境・CSR推進部専任部長 吾田鉄司さん
1894年に竣工(しゅんこう)された東京・丸の内で最初のオフィスビル「三菱一号館」を忠実に復元したことで注目を集めた赤煉瓦(れんが)の建物は2010年、「三菱一号館美術館」として生まれ変わった。そして今、地球環境にも優しいとして再び脚光を浴びようとしている。展示室照明のLED化で電力の年間使用量を4割削減。また10月から、使用する電力相当分を全て再生可能エネルギーで賄うことにした。三菱地所環境・CSR推進部の吾田鉄司専任部長は「丸の内全体で環境負荷低減に取り組む中、一般の人が多く訪れる美術館でこのことをアピールできる」と強調した。
美術品の劣化なし
--展示室照明に気を使っている
「展示している絵画や彫刻など美術品を最高の状態で鑑賞してもらうためには、最適な色、温度、明るさを作り出す必要がある。使用するLEDランプも通常のものではなく、美術品をより美しく見せるため特に赤色の再現性が高い美術館専用のオリジナルLEDランプを採用した。非常に気になる美術品の劣化もなく、以前よりきれいなため他の美術館から見に来ることもある」
--LEDに切り替えた理由は
「当館では光ファイバー照明システムを採用、ハロゲンとセラミックメタルハライドランプ(CDM)の光源器から出た2種類の光を特殊技術により均一に混ぜ、光ファイバーから展示室内に光を伝送。これにより自然の太陽光に近い美しい波長の展示光を実現している。しかし電気使用量が多く、熱も放出するので昨年6月、ハロゲン、CDMそれぞれ115台を、白色と電球色のLED各115台に切り替えた。すると今年5月までの館内電灯の使用電力は4割削減でき、照明使用料金は半減した」
--このほかにメリットは
「光源からの発熱量が少ないため、空調負荷を軽減できたことも電力削減につながった。またランプを触っても熱くないうえ、光源器が軽くなったので作業効率が向上した。ランプ寿命もハロゲン光源器との比較で0.5年から12年に大幅に延びることから、ランプがいつ切れるか心配する必要もなくなり、ランプ交換の手間も減らすことができた」
--美術館の電力使用量は多いのか
「展示している美術品が傷まないように、美術館は人より美術品に優しい温度(21度)・湿度(50%)に設定されている。しかも24時間365日休むことなく空調を使うので、『寒い』『省エネを考えているのか』と書かれた来場者アンケートも目にするほどだ」
充電は風力で賄う
--環境負荷低減に向け再生エネを採用している
「02年4月から15年間、再生エネで発電された電気の環境付加価値を『証書』の形で取引する『グリーン電力証書システム』を通じて、毎年100万キロワット時の風力発電を日本自然エネルギー(東京都品川区)に委託。15年8月から、グループ施設に設置している電気自動車(EV)用・プラグインハイブリッド車(PHV)用充電器が使用する電力を全て風力発電で賄っている」
--美術館でも使用している
「10月から美術館で使用する電力相当分を再生エネで賄っている。今年4月に再契約し、風力のほか太陽光、バイオマス、小水力のミックスによる発電に切り替え、契約量も年間114万キロワット時に増やした。美術館で使用する電力のほか、来年移転する新本社の電力も賄う方向で検討している」(松岡健夫)
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【プロフィル】吾田鉄司
あずた・てつじ 慶応大法学部卒。1994年三菱地所入社。社会環境部、三菱地所プロパティマネジメントなどを経て2014年環境・CSR推進部副長、17年4月から現職。47歳。大阪府出身。
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