クラウドファンディングで不動産投資拡大
株式ニューカマー□ロードスターキャピタル・岩野達志社長
不動産関連金融事業を手掛けるロードスターキャピタルは9月28日、東証マザーズ市場に上場した。東京都心のオフィスビルへの投資と、インターネットで個人から小口資金を集めるクラウドファンディングの2つの事業領域をビジネスの柱として成長してきた。岩野達志社長は「個人投資家からの信頼を得て、クラウドファンディングを広めたい」と上場理由を語る。
◆利回り最大14.5%
--事業の詳細について
「主に東京23区に特化して、本来の適性価値よりも割安となっている、投資額が数億~数十億円の中規模オフィスビルを取得し、改修や空室率の改善などで付加価値を高め、賃貸したり売却したりする。もう一つの事業の柱がクラウドファンディングサービスで、1口1万円の少額から不動産投資ができる。資金を不動産保有会社に貸し付けて得られた金利を投資家に配当する仕組みだ。オンライン化されているので、会員登録料、年会費などがかからず、投資家にとって費用負担が軽減されている。投資案件についてさまざまな情報が開示されているので、リスク許容度に応じて投資判断ができる」
--業績の推移は
「2012年度から黒字を計上し、売上高、経常利益とも増収増益を続けている。オフィスビル投資の売り上げが中心だが、今後はクラウドファンディング事業の伸びが期待される」
--これまでのクラウドファンディングの実績は
「8月末時点で実行案件は64件で累積投資額は22億円強となっている。年利回りは4.8~14.5%を実現している。直近では2億円弱の案件を募集したところ、5時間弱で完売した」
◆人脈と情報で優位
--事業モデルの強みは
「不動産とITに関して高い専門性を有することで市場のニーズを捉え、迅速なサービスを提供していることだ。経営陣をはじめとして20年以上不動産事業に従事している経験豊かな人材がそろっている。人脈が豊富で情報収集力も高いため取引も増えている。情報処理システムを内製化し、社内運用することで投資家の要望に素早く対応している。セキュリティー、個人情報保護にも厳格に取り組む。ベンチャー企業としては平均年齢が高く40歳を超え、不動産、金融、ITのプロフェッショナルがそろっている」
--これからの成長をどうイメージしているのか
「内部収益率20%以上の案件に投資を続けていく。投資家会員数と供給案件数を増やしていくことで、クラウドファンディング事業を拡大させていく。1人当たりの投資金額も最初は少額だが、投資経験を重ねることで金額も大きくなるだろう。売上高に占めるクラウドファンディングの割合はまだ小さいが、数年のうちに売上高の半分を占めるよう成長させる」
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【プロフィル】岩野達志
いわの・たつし 東大農卒。1996年4月日本不動産研究所入所。ゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパン、ロックポイント・マネジメント・ジャパンLLCを経て、2012年3月ロードスターキャピタルを設立し、現職。44歳。兵庫県出身。
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【会社概要】ロードスターキャピタル
▽本社=東京都中央区銀座2-6-16 ゼニア銀座ビル6階
▽設立=2012年3月
▽資本金=11億6900万円
▽従業員=35人(17年9月時点)
▽売上高=66億3400万円(17年12月期予想)
▽事業内容=不動産投資、フィンテック
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