日産とスバル、無資格検査なぜ起こった? 「検査員」認定基準は各社で違い

 
スバルの製造ライン(同社提供)

 日産自動車に続き、スバルでも新車の「完成検査」を無資格者が実施していた。この問題についてQ&A形式でまとめた。

 Q 完成検査とは何か

 A 新車製造の最終工程で、計測器械を使ってブレーキの制動力、ライトの明るさや角度、排ガスの濃度などを調べる。主に、国の「保安基準」に適合しているかと、その車種の「型式」としての構造、装置、性能を有するかを主眼に置く。保安基準は共通だが、型式の検査手法は、申請の際、国土交通省に「こういう方法で確認します」と“約束”して認められたもので、各社で異なる。

 Q 無資格検査は法令違反なのか

 A 完成検査員については、自動車型式指定規則の実施要領(国交省の通達)に「当該検査に必要な知識及び技能を有する者のうちからあらかじめ指名された者」と記されており、これに反している。資格は国家資格ではなく、認定基準は各社によって違う。

 Q 車両の安全性に問題はあるのか

 A 日産の西川(さいかわ)広人社長は「検査自体は行われており、安心・安全にお乗りいただける」と強調。スバルも無資格検査について、「業務に必要な知識と技能を100%身につけたと現場管理者に認定された者」(吉永泰之社長)が実施していたと説明している。現時点で事故の発生などは確認されていない。

 Q 日産とスバルが問題を起こした背景は

 A 日産は「現場のコントロールが課題」(西川社長)としており、現場の判断で無資格検査が実施され、経営陣の改善指示がうまく伝わらなかったという。一方、スバルは無資格検査を誘発しやすい社内規定が30年以上前からあったとしており、両社の背景は異なる。

 Q 販売・業績への影響は

 A 両社とも国内販売には打撃で、特に出荷停止に追い込まれた日産は深刻だ。ただ、世界販売のうち、この問題が影響する国内販売の占める比率は日産は10%、スバルは15%程度と低く、連結業績への影響は現時点で限定的とみられる。

 Q 今後の焦点は

 A 日産は11月初旬を目途に国交省に調査結果と再発防止策を報告し、出荷を再開したい考え。スバルは来週半ばに国交省にリコールを届け出て、1カ月を目途に再発防止策を報告する。両社とも、正常化に向けた社内態勢の整備が課題となる。