看板の劣化状況を定量的に点検 レガーロ、超音波で安全性評価

 
非破壊検査機器によるポールサインの劣化状況探査

 看板の製造・販売を手掛けるレガーロ(東京都世田谷区)は、ポールサインの劣化状況を数値を使って定量的に点検できる新サービス「看板ドック」の提供を始めた。ポールサインなど看板の点検は、目視や触手による感覚的な方法が一般的で、安全に対する評価があいまいだった。新サービスは科学的根拠に基づく数値を活用することで、感覚的な点検方法のリスクを解消できるとしている。腐食などによって看板の倒壊、落下事故が全国で相次ぐ中、同社では協力会社を募り定期点検サービスとして普及を目指す。

 ◆国交省の基準ベース

 新サービスは、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録された超音波による非破壊検査システムを利用する。

 ポールサインが倒壊する際のウイークポイントである地際部の傷、腐食状況を検知。板厚を測定し、減少(減肉)量を算出する。

 同社は東洋大学と共同で、国交省などの標識の安全基準をベースに、看板の安全性を地際部の減少量で評価する新たな基準を作成。基準に照らした点検結果は「診断カルテ」として提出する。

 診断カルテでは、数値に基づき「深刻な腐食状況につき至急詳細点検、補修、交換の必要あり」「詳細点検、日常的な経過観察が必要」「補修必要なし 次回定期点検まで経過観察」など具体的な対策を提示する。同社で2~3年ごとの定期点検を想定しており、料金は1店舗当たり10万円(税別)からに設定した。

 評価が明確になれば、必要な分だけ交換、補修でき、看板の維持費用が抑えられるという。また、診断カルテがあることで、看板設置会社は点検・補修が計画的に進めやすくなり、点検の継続が見込めるとしている。

 ◆診断カルテ基に交換

 販売にあたっては店舗展開をしている企業から構成される任意組織「多士済々倶楽部」とタイアップ。ファミリーレストランやコンビニエンスストアなどに採用を働きかけ、金融業界などにも広げていく考えだ。

 診断カルテを基にポールサインの交換ほか、来年早々から補修の受注にも乗り出す。来年9月までに新サービスで500件、補修250件の受注獲得を目指す。

 また、ポールサインだけでなく、来春に袖看板の「看板ドック」を開始する考えで、ゆくゆくは突き出し看板や、入口の上に設置される看板などにも広げる。

 老朽化した看板の倒壊、落下をめぐる事故は全国で後を絶たず、2015年には札幌市で歩行者の頭に重さ25キログラムの看板が落下し、頭や首の骨が折れる大けがを負ったケースもあった。

 レガーロの高倉博代表取締役は、「新サービスを通じて看板業界を安全第一の業界に変えたい」と話している。

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【会社概要】レガーロ

 ▽本社=東京都世田谷区千歳台3-3-16 HN千歳台ビル2階

 ▽設立=1998年3月

 ▽資本金=1100万円

 ▽売上高=2億1000万円 (2017年9月期)

 ▽従業員=9人(パート含む)

 ▽看板の製造・販売