内閣府VS総務省 電波オークション、政府内に温度差 先行き見通せず
電波の有効活用や審査の透明化に向け、周波数帯の利用権を競争入札にかける「電波オークション」をめぐり、政府内で足並みが乱れている。内閣府の規制改革推進会議の部会では、オークションは主要議題となっていて導入に前向きだ。一方、総務省は消極的で電波の有効利用がテーマの懇談会では議題にすら上がっていない。
事業者、真っ向反対
規制改革推進会議の部会は今月、毎週のように会合を開き、携帯電話事業者や放送事業者、総務省から意見聴取し、活発な議論を重ねている。主な議題は電波オークションの導入についてで、会議の委員が前向きなのに対して事業者は「放送の公共性や継続性が損なわれる恐れがある」(NHK)など真っ向から反対。総務省も消極姿勢を貫く。
規制改革推進会議が電波オークションを議題に議論を重ねるのは、6月に閣議決定された「規制改革実施計画」で検討事項に上がったためだ。安倍晋三首相も9月11日の会議で「ダイナミックな電波の利活用が可能となるよう割当制度の改革は待ったなしだ」と強調した。
総務省も10日から、「電波有効利用成長戦略懇談会」で議論を開始。しかし、警察無線など公共用周波数の民間への開放などが主要議題で、電波オークションには出席した野田聖子総務相も委員も一言も触れずじまいだった。
電波オークションは現行の電波割り当て方式の「比較審査」と比べ、審査過程の透明化や電波利用料増収が見込める。2015年度の電波利用料収入は約747億円だが、民主党政権下で導入が検討された際は毎年平均で数千億円の収入になると推計されていたという。
外資規制できず
首相の意向を受け、オークション導入は今後、検討が進む見通しだ。総務省も「(電波割当の)現行方式が唯一無二とは思っていない」と述べるなど、譲歩の姿勢を見せており、導入に向けた法案提出まで進む可能性もある。
ただ、オークションでは外資を規制ができないことから、安全保障上の問題などのデメリットも指摘される。制度を利用する側の事業者は強硬な立場を崩していない。
「民主党政権下で反対したのは自民党。今も与党内に賛成派は少ないのでは」(総務省幹部)と与党内で足並みが乱れる可能性もある。官民のさまざまな思惑が交錯する中、議論は先が見通せない。(西岡瑞穂、大坪玲央)
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■電波オークションの主なメリットとデメリット
≪メリット≫
・投資を回収する必要性から、落札者が電波を効率的に利用する
・比較審査方式に比べ、手続きの透明性や迅速性を確保
・新規参入や市場競争を促進し、国際競争力強化につながる
≪デメリット≫
・落札額高騰により、インフラ整備に遅れが生じる
・周波数の長期独占などによる競争力の格差拡大、転売目的の周波数買い占め
・利用者料金高騰などの懸念
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【用語解説】電波オークション
国が管理する電波の周波数の一定期間の利用権を競争入札で決める方式。経済協力開発機構(OECD)加盟国35カ国のうち、導入していないのは日本のみ。民主党政権下の2012年、導入の関連法案が国会に提出されたが、自民党の抵抗などで審議されず、衆院解散に伴い廃案となった。
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