空き駐車場マッチング、3年で会員50万人 akippa・金谷元気社長

 

 契約されていない月極駐車場やマンションなどの空き駐車場を、15分単位でウェブ上で予約、決済ができるサービスのakippa(アキッパ)。サービス開始3年で、登録駐車場件数は大手コインパーキングをしのぐ約1万2000カ所(7月時点)に成長した。金谷元気社長に今後の展開を聞いた。

 ◆社会問題解決に貢献

 --アキッパを始めた経緯は

 「もともとはウオーターサーバーやインターネット契約などを代行する営業会社を経営していた。経営は順調だったが、そのうち自分たちのビジネスが『世の中になくてはならないものだろうか』と悩むようになった。社員30人でアイデアを出し合ったときに、ある女性社員から『利用したいときにコインパーキングが満車で困ることがある』との意見が出され、ビジネスにできるのではと考えた」

 --新規事業への取り組みは順調にいったのか

 「いろいろ調べると、路上駐車が東京や大阪で問題になっている一方で、利用されていない空き駐車場が多くあることなどが分かり、それらをマッチングできれば、社会問題の解決につながると確信した。ただ、社内では疑問の声も根強かった。そこで、説得のためにと応募したベンチャー企業向けコンテストで優勝したことで、社名もアキッパに変えて取り組むことにした。優勝をきっかけに大手企業から優秀な人材を獲得し、事業を前進させることができた」

 --提携する駐車場数が大手コインパーキングをしのぐまでに急拡大している

 「利用できる駐車場が増えることで利用者も比例して増加するため、スピード感をもって事業を進めることができた。1カ月の利用者は前年比で4倍くらいで、年内に会員ドライバー数が50万人に達する見通しだ。現在は東京と大阪が中心だが、他の都市にも広げていきたい」

 ◆スポーツ提携広げる

 --スポーツチームとの提携を進めている

 「スポーツイベント開催日の駐車場確保は、多くのチームが抱えている問題だ。サッカーJ1セレッソ大阪との提携では、チケットと駐車場のセット販売を行う。セレッソのファンサイトでのアキッパの案内や、われわれのメールマガジンでのチケット優待の配信もやっている。プロ野球の日本ハム、男子プロバスケ・Bリーグの西宮ストークスとも提携しているが、他にも提携を広げていきたい」

 --将来像は

 「当面は、どこでも駐車場が探せるよう提携先を充実させる。将来はカーシェアにも乗り出したい。コインパーキングを活用したカーシェアが拡大しているが、われわれの駐車場でもできるはず。個人所有の車も貸し出せないかと考えている」

 --大阪の起業環境についてどう考えるか

 「大阪でのビジネスのメリットは、関西出身の優秀な人材を採用できること。東京で働いているが、故郷に戻りたいと考える人材が、当社で働いてくれている。また、さまざまな企業と提携する中、同じ関西企業から応援してもらえる。ビジネスを行ううえでのデメリットは感じないが、起業に当たっては情報やコミュニティーが少ないと感じる。情報を得るために、積極的に動く必要がある」

【プロフィル】金谷元気

 かなや・げんき 高校を卒業し、クラブチームでプロサッカー選手を目指した後、2年間の営業職を経て、2009年2月ギャラクシーエージェンシーを設立。インターネット契約や携帯電話の代理販売を手掛ける。14年、駐車場シェアリングサービス「akippa(アキッパ)」を立ち上げ、15年2月に社名を「akippa」に変更。32歳。大阪府出身。

                  ◇

【会社概要】akippa

 ▽本社=大阪市西区西本町1-2-1 AXIS本町ビル9階

 ▽設立=2009年2月

 ▽資本金=13億6973万円

 ▽従業員=110人

 ▽事業内容=空きのある月極や個人の駐車場情報の検索、予約サービス