【大林組会見詳報】(4完)逆風の船出に蓮輪次期社長「まず信頼回復を」
--国家プロジェクトであるリニア工事を受注した際に、どう感じたか
白石氏「当社は、品川駅の工事に用いる『地中連続工事』を日本でもっとも得意としている。受注しなければならないと考えていた。受注できた際はほっとした」
--その後、当局の捜査を受けた際にはまず、どう思ったか
「何が起きたのかわからない、『なぜ』という思いだった。何を捜査するのかは伝えてもらえなかった」
--創業家の大林剛郎会長の進退は
蓮輪氏「新体制について鋭意検討している。2月中旬には発表したい」
--なぜ、このタイミングで決めないのか
白石氏「まずは経営体制の一新ということで、社長の交代を発表した次第だ」
--白石社長は以前に、「創業家は経営を進める上で『心のよりどころ』になる」と述べたことがある
「一般的に申し上げて、大林組の場合は、そうだと思う」
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注目される談合疑惑への具体的なコメントはなく、報道陣の質問は、次期社長となる蓮輪賢治専務執行役員に対し、今後のかじ取りの方向性を問うものへと移った。記者会見は、開始後1時間8分で終了した。
--社長就任後はどんなかじ取りをする考えか
「世界経済の変化を見極めながら、海外事業に取り組んでいきたい。まずは発表済みの中期経営計画に従い、着実に将来への布石を打っていきたい」
--(談合疑惑の)再発防止へ向けた体制づくりはどう進めるか
「まずは当局の調査、捜査に全面的に協力して参りたい。事実関係が明らかになった時点で瑕疵(かし)があれば、それに基づいた実効性のある対策を練りたい」
--業界として、新たなルール作りも必要ではないか
「今のところ、マスコミによる報道内容しか承知していない。真相が明らかにならないと。コメントは控えたい」
--現在進めているリニア関連工事や、今後の発注工事への対応は
「受注した工事は、工期を守って完成させたい。今後の発注工事については、応札の是非をそのつど見極めたい」
--逆風の中で船出となる
「おっしゃる通り。将来のことは見通せず、厳しい状況にあることは間違いない。まずは事実関係を明らかにし、適切に対応したい。ステークホルダーの皆様の信頼を早期に取り戻したい」
--大林組は再生可能エネルギー分野に注力しているが、今後どんな分野を伸ばして成長を目指す考えか
「引き続き再生可能エネルギーによる発電事業の充実に努めるとともに、ESG(環境・社会・ガバナンス)をにらんで持続可能な社会に貢献できるようなインフラビジネスに挑戦していきたい」
--たとえば、グリーンボンド(再生可能エネルギーなど環境に配慮した事業使途に限定して発行する債券)の発行も検討するのか
「具体的なことはまだ言えないが、そうしたことも視野に入れていきたい」
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