【地域資源を生かす】沖縄らしい健康食品で差別化、巻き返しに躍起
■県内企業がブランド認証制度、巻き返しに躍起
医食同源文化が根付く沖縄で、伝統的調理法を活用したり、自生する雑草の生命力に着目したりと沖縄らしい健康食品を扱う県内企業が県外への売り込みに躍起になっている。健康志向を追い風に機能性表示食品が受け入れられているにもかかわらず、沖縄県の健康食品出荷額はピークの半分に落ち込む。巻き返しに向け県内の関連企業が、科学的な機能性の実証(エビデンス)と安全・安心の確保、さらには沖縄ならではのストーリー性(情緒的価値)の三拍子そろった商品を沖縄ブランドとして認証。他地域との差別化を図ることで拡販につなげようとしている。
9月にも第1号
関連企業からなる沖縄県健康産業協議会が4月、認証制度を始める。沖縄発商品として認証されると新ブランド「ウエルネス オキナワ ジャパン」の認証マークが与えられる。9月にも第1号が登場予定で、初年度は14商品の認証を目指す。
1月31日から3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「健康博覧会2018」にブランド認証を目指す企業が集結。アロエやモズク、薬草といった沖縄由来の健康食品素材を使った加工食品、栄養補助食品を並べて「沖縄情緒×機能性×安全・安心」を訴えた。
「(沖縄の伝統的調理法である)煎じることでシークヮーサーの果皮に含まれる有効成分(ヘスペリジン)を十分に引き出した」
3月発売予定の「シンジムンの力」シリーズを展示したカタリスト琉球(沖縄県うるま市)の稲福直専務は来場者に試飲を勧めながら、ヘスペリジンによる血流冷え性改善効果をアピール。その場で「ポカポカしてきた」と効果を実感する人もいた。
シンジムンとは「煎じたもの」を意味する沖縄の方言で、滋養強壮や薬用目的で素材を長時間煮込む。この調理法を応用した「発酵シンジ製法」を琉球大学との共同研究により確立。化学薬品や有機溶媒などを使わず発酵させた果皮を、絞った果汁で煎じることでヘスペリジン含有量を2.5倍に濃縮した。
稲福氏は「シークヮーサーの果皮は捨てていた。それを原料として有効利用するとともに、果汁の用途を広げたことで生産者の利益向上につながる」という。18年度は自社商品に、OEM(相手先ブランドによる生産)、原料販売で5000万円程度の売り上げを目指す。
強い生命力に注目
「目や鼻の不快感を軽減する機能」で、16年8月に沖縄県初の機能性表示食品として消費者庁から受理された「宮古BP」「宮古ドリンク」。
主原料のハーブ「宮古ビデンス・ピローサ(BP)」の強い生命力に武蔵野免疫研究所(東京都新宿区)が注目。沖縄県宮古島に拠点を置き、BPの研究・開発・加工に取り組む一方で、抗炎症・抗酸化・抗アレルギー作用について多くの大学や研究機関と共同研究に着手。効果が明らかになったBPのエキスを活用した健康食品を商品化した。
宮古島の地域振興にも一役買っている。当初は行政に持ち掛けても「雑草で事業ができるわけがない」と相手にされなかったが、諦めずに試験栽培を続けるうちに協力者も増え、現在は契約した農家と生産組合を立ち上げて管理栽培を行っている。
「駆除しても駆除しても生えてくる島の嫌われ者だったが、今では宝物に変わった」(谷口直隆・事業統括兼営業担当部長)。BPの可能性を化粧品や医薬部外品にも広げる考えで、さらなる生産農家の拡大・雇用創出を目指す。
◇
■出荷額はピークから半減、東京でもPR
沖縄に自生している伝統的薬草「島桑」を地域資源に変えたのが浦添市だ。研究の結果、桑葉に、食後の急激な血糖値の上昇を抑える機能成分(デオキシノジリマイシン)が多く含まれることが分かった。カルシウムや食物繊維、鉄分も豊富に含まれており、沖縄の新しい健康食品素材として注目を集める。
地域を代表する特産品がなかった浦添市は、この事業を高齢者の雇用と生きがいをサポートする浦添市シルバー人材センターに委託。シルバー会員が徹底した無農薬栽培と無添加原料にこだわって生産した桑葉を乾燥・粉砕して「てだ桑茶」として2012年8月に発売した。桑葉はそれまで、カイコの飼育に適した春と秋を除くと捨てられていたので有効利用につながった。
県内量販店を中心に販売してきたが、桑葉の生産量が増加。「県外にも安定供給が可能になったため、今年から販路拡大に乗り出す」(同センターの浦崎祐和販売管理担当)。その一環としてフレスコ(名古屋市中区)と総代理店契約を結んだ。
強い紫外線、年中温暖な気候、サンゴ礁の大地-。こうした沖縄の生育環境が抗酸化成分や食物繊維、カルシウムなどを豊富に含む植物を育てたといえる。
他地域と差別化できる優位性を持ちながら、健康食品の出荷額は低迷。近年は100億円を割り込んでおり、ピークだった04年度の200億円から半減した。しかし15年4月施行の機能性表示食品制度が順調に推移していることを好機ととらえ、同協議会は健康食品の認証制度を創設した。
健康博覧会には同協議会も出展、セミナーで認証制度について説明し周知を図った。今後はアンテナショップ「わしたショップ」の東京・銀座店などを通じて認証商品の良さをアピールしていく。出展した企業も販路開拓に積極的で、カタリスト琉球は「外資系大手流通会社とブースで商談ができた。3月には本部に行く」と手応えを感じていた。(松岡健夫)
関連記事