第一生命、健診結果の提出で保険料割引 業界初、最大20% 保険契約全体の約6割が対象に
第一生命保険が、加入時に健康診断の結果を提出すれば、保険料を最大で約20%安くする新制度を3月下旬に導入することが26日、分かった。健診を受けている人は死亡や病気のリスクが低いことが独自調査で判明したため。同社によると、健診結果を提出するだけで保険料を割り引くのは業界初。件数ベースで保険契約全体の約6割が割引対象となる見通しだ。
健診を受ければ保険料が下がるため、顧客の健康増進の意識を高める効果が期待できる。保険会社にとっても保険金の支払いが減り収益を安定させる利点がある。生保業界では、健診の受診率が上がれば、社会保障費の抑制にもつながると説明している。
割引は2段階で、健診結果を提出すれば、内容にかかわらず保険料を最大約10%安くする。血圧や血液検査の数値が優良であれば、さらに同約10%引き下げる。新規契約が対象で、死亡保障と、がんや脳卒中など三大疾病を保障する商品に適用する。
第一生命によると、顧客の病歴などのデータを分析したところ、健康診断を受けた人はそうでない人に比べ、死亡や三大疾病のリスクが低いことが分かった。保険金の支払いが抑えられるため、保険料の引き下げができると判断した。
生保業界では、第一生命の取り組みのように顧客に健康改善を促し、保険への満足度を高めながら、自社の収益安定を目指す「健康増進型保険」の発売が相次いでいる。東京海上日動あんしん生命保険は昨年8月、歩数に応じて保険料を割り引く定期保険を発売し、売れ行きは堅調だ。
住友生命保険は今年夏にも、ITを活用して健康状態に応じて保険料を割り引く新商品を出す方針。提携先での買い物やサービスで特典を受けられるようにする。
【用語解説】健康増進型保険
顧客が健康増進などに取り組むと保険料を割り引く新しいタイプの保険。従来の生命保険は年齢や性別で画一的に保険料が定まっていたが、人工知能(AI)の活用などで健康上のリスクを計算し、保険料を細分化できるようになった。長寿化や健康への関心の高まりに対応し、各保険会社が開発を競っている。歩数を計測するウエアラブル端末などの新たな技術を活用するものが多く、今後、市場の拡大が期待されている。
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