【NHK上田良一会長定例会見録】平昌五輪のネット配信試験は成功 東京五輪の常時配信に依然意欲
NHKの上田良一会長の定例会見が1日、開かれた。上田会長は、日本勢の活躍で、視聴率を含め、大いに盛り上がった平昌五輪で、試験的に同時配信したインターネット映像を見た視聴者が多かったことなどを明かし、改めて2020年の東京五輪までに、常時同時配信を実施することへ強い意気込みを見せた。主なやり取りは以下の通り。
盛り上がった平昌五輪
--(幹事社・報知)平昌五輪が閉幕した。所感を
「今大会、日本選手のメダルは冬季五輪最多の13個で、大きく盛り上がった。私も開会式前日から4日間の日程で韓国を訪れ、NHKと民放連で構成するJC(ジャパンコンソーシアム)や8Kの制作現場を見てきた。民放連の井上弘会長とともにIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長にも面会し、平昌五輪と東京五輪の成功に向け、JCが一体となって取り組む考えを伝えた。NHKと民放連の良好な関係のもと、JCが円滑に機能していると確認でき、放送の二元体勢の意義を改めて認識した」
「今回、五輪放送では初めて、ユニバーサル放送として視覚障害者向けに副音声を使った実況に取り組んだ。選手の姿勢やユニホームの色が伝わり、臨場感があったという声などが寄せられた。インターネットの動画も多くの方にごらんいただいた」
「アイスホッケー、カーリングなど17本の動画をライブ配信した際のロボット実況では、利用者から『意外に滑らかな話し方だ』と反響があった」
「4K8Kのパブリックビューイングには期間中に11万人を超える方に来場いただいた。今後はそれぞれ視聴者の意見を参考に、スポーツをより魅力的にわかりやすくするため、万全の準備を進める」
「9日からのパラリンピックでは、アルペンスキー、スノボ、アイスホッケーなど、日本選手の出る競技を中心に総合テレビやBS1で放送する。ユニバーサル放送も五輪に続き実施。インターネットでは五輪同様、ライブ配信やハイライト動画などもお届けする」
--(報知)視聴率が大変よかったが
「ひとつには日本選手の活躍が素晴らしかったことがある。NHKへの視聴者の関心も非常に高かった。カーリングとほぼ同時にスピードスケートのマススタートをやっていたが、(テレビの速報の)字幕で『金メダル』と出たので、すかさず見逃し配信を見た。ネット独自の動画配信サービスにも力を入れ、その面でも楽しんでいただけたのではないか」
「大会期間中、ネット(試験的提供A=同時配信)に140万人の訪問者があり、フィギュア男子シングルフリーは、約60万人がネット(同)を通じて見たと聞いている」
「五輪は、OBS(オリンピック放送機構)が映像の提供をしているが、そのOBSの社長と会って、意見交換したところ、五輪に興味を持ってもらうためのカギは『ストーリーとデータ』と言っていた。金銀銅の結果も大事だが、その裏に選手の一人一人のストーリーがある。そこを含めていろんな情報を提供すると、視聴者がさらに興味を持つ」
「NHKスペシャルなどを通じて、スキージャンプの高梨沙羅やスケートの女子パシュートチームなどを紹介したが、ストーリーのある選手の活躍は個人的にも印象に残る」
「カーリングの放送時間は長かったが、4強入り後の韓国戦、英国戦は最終エンドまで、長時間ずっと見ていた。テレビはよく見るものの、2~3時間じっと見るということはそうないが、カーリングは見た」
--(報知)東京五輪に向け、どう期待するか
「会長就任時から、最高のICT(情報通信技術)を使って(ネットの常時同時配信などで)最高のコンテンツを世界に届けたいと思っている。われわれがやれることは五輪の魅力を視聴者に伝えることだ」
イノッチ、有働アナ
--(報知)8年続いた「あさイチ」の有働由美子アナと井ノ原快彦さんのコンビについて
「『あさイチ』は8年間、このコンビで本音ベースの生き生きとしたトークで、わかりやすく伝えていただき、視聴者に喜んでもらえる番組になった。8年は長く、放送開始よりかなり早い時間に出勤しなくてはならず、私生活も大変だったと思うが、2人には心から感謝している。新年度からは新しい組み合わせ。博多華丸・大吉さんと近江友里恵アナ。これまでの番組のいいところを受け継ぎ、それぞれの個性を生かして新たな魅力の番組になれば」
--(報知)有働アナへの今後の期待は
「有働アナはいろんなことを非常にうまく話す有能な方。今までの経験を生かしながら、ご活躍いただければ」
(制作局担当者)「お知らせできるものはないが、検討中のものなど、決まり次第お知らせする」
不祥事の払拭は可能か
--(報知)受信料着服問題を受けて、再発防止策10項目を発表したが、不祥事を払拭できそうか
「払拭できるかはお約束できないが、最大限、根絶に努力する。今まで不祥事があった際は、原因を探り再発防止の手を打つ形を取ってきたが、今回は外部の専門家にも助言を求めて受信料収納の業務全般について総点検を行った。横浜や名古屋のような着服案件を二度と起こしてはならない。職員には公共放送としての責任を認識し、一人ひとりが高い倫理観を持って業務にあたってもらう」
「制度だけでは対応できないところもあるので、根絶に向け最大限努力する。今回は外部の専門家の新たな目が入っているし、今、われわれができる範囲の中では、望ましい形の有効な手立てと考えている」
受信料値下げ「検討すべき重要な課題」
《2月9日にNHKの30年度予算案が閣議決定された際、30年度末で利益剰余金(内部留保)が767億円となる見込みであることなどを踏まえ、政府が「(受信料)引き下げの可能性を含め検討を行うことを求める」との総務相意見を付けたことに絡む質問が出た》
--(報知)受信料値下げについて今後、再検討の可能性はあるか
「次期経営計画の策定を進める中で、4K8Kなどの放送サービスの充実強化を図った上で、受信料収入の増加と業務全般にわたる経費の削減によって3カ年で170億円規模の原資を生み出す。その上で受信料制度等検討委員会の答申や視聴者の皆様から寄せられたご意見も踏まえ、今回受信料の負担軽減策を優先して実施するということで、やらせていただきたいということを申している」
「今後の受信料額の適正な水準については、中長期的な事業計画や収支見通しを踏まえた上で検討すべき重要な課題だという認識に変わりはない。次期3カ年の受信料収入の状況も踏まえながら、中長期的な視点に立って対応していきたい」
記者の働き方改革にスマホで出退勤打刻
--(報知)NHKの働き方改革の一環でスマホによる出退勤の打刻制度を試行しているという報道があったが、これが事実かどうか
「スマートフォンを使った打刻については、外勤の多い記者の勤務をより正確に記録して健康確保につなげるため、報道局の一部の部署で試験的に導入を始めている。そういう意味では事実」
「ただ、取材源の秘匿が報道機関として守らなくてはいけない大原則であり、NHKの行動指針でも取材源の秘匿を貫くことを定めている。それに沿った運用方法を現場とともにどうしたらいいか検討をした上で、試行的に始めたわけだが、例えば、位置情報は打刻したときのみの記録とするとか、24時間位置情報を記録するわけではないとか、こういったことも含めて試験的に導入を始めた」
「試験結果も踏まえながら、本来的に記者が守るべき行動指針と、働き方改革をしっかり進めていくことを、どう両立させていくか考えていきたい」
大杉漣さん死去「惜しむ声現場からも多数」
《2月21日に急逝した俳優の大杉漣さんについても質問が出た》
--(報知)NHKでも大河ドラマに出られたり、亡くなる2日前の19日にもNHKスペシャルの『メルトダウン』の撮影に参加されていたという報道もありました。大杉さんへの思いと、今後、そのNスペはどのような形とするのか
「本当に残念なことだ。大杉漣さん急逝は、私としてもNHKとして報告を受けた。連続テレビ小説、大河ドラマをはじめ数多くのドラマにご出演いただいた。ドラマの収録現場ではどんな役でも一生懸命に演じ、収録の合間には談笑の輪の中に必ず入られる明るい方で、スタッフや共演者から大変好感を持たれ、皆から好かれたと伺っている。また、きさくな人柄でトーク番組やバラエティー番組でもご活躍いただいた。独特の語り口調のナレーションも味わい深いものだったと報告を受けている。素晴らしい俳優の大杉漣さんが急逝されたということに、惜しむ声が現場からも多数届いている。謹んでお悔やみ申し上げたい」
「今月放送予定のNHKスペシャルに出演していただいているということだが、予定通り放送すると聞いている」
民放連の次期会長に「協力し合えることある」
--(朝日)2月23日、民放連の次期会長に日本テレビの大久保好男社長が内定した。上田会長はずっと民放連との協力を言われてるが、受け止めを
「民放との関係はこの1年間努力してきまして、現在の井上会長はじめ、民放の皆さんとの意見交換も積極的に進めてきた。放送の二元体制を堅持しながら、放送と通信の融合時代にいかに向き合っていくか、互いの立場の違いを認識した上で協力し合えることもあるのではないかというふうに考えている」
「わろてんか」クランクアップ
--(スポニチ)朝ドラの「わろてんか」が先日、クランクアップした。ここまでの感想と、ヒロインの葵わかなさんに伝えたいことあれば
「ヒロインに選ばれたときに挨拶にきてくれて、まだ高校を卒業して大学1年生か、休学されているかもしれないが、恐らく子供さんの役をされてる人(俳優の成田凌さん)より年下ですよね。本当にお上手にやられた。今後さらに高い年齢もやられると思うが、素晴らしいヒロインとして役をこなされている」
「それから、おかげさまで視聴率的にも視聴者の方々にお喜びいただけている。最後までしっかりこなされたということで、本当に感謝しているし、良かったなと思っている。それと同時にあと1カ月、楽しませていただくことを、私からも期待している」
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