【高論卓説】「ゲームバー」大阪で一斉に閉店 ソフト無許諾上映に対する甘い認識
9日に大阪で「ゲームバー」が一斉閉店するというニュースが流れた。コンピューターソフトウエア著作権協会(ACCS)から警告を受けてのことである。さて、このゲームバーは一体どんなことをするところで、何が問題だったのだろうか。
記事によれば、客にゲームを貸し出し、店のオープンな店内でプレーさせたり、店内で大会を実施して大画面でその様子を他の客に見せたりしていたようである。ゲームは、映画の著作物(著作権法10条1項7号)に当たるとされている。著作物である以上、著作権が発生するわけであるが、一口に著作権といっても、複製権、公衆送信権などいろいろな権利がある。
今回、ACCSは店でプレーしたりした行為を上映権の侵害と捉えているようであるが、貸し出し行為についても少し検討してみたい。
映画の著作物には、頒布権という権利が認められている。頒布権とは、公衆に譲渡したり貸与したりする権利を指す。有償無償は問わない。つまり、ゲーム会社などゲームの著作権者は、ゲームを公衆に提供する権利を有しているのである。
では、ゲームバー運営会社が適法に購入したゲームを客に貸し出した場合、ゲームバー運営会社は、この頒布権の侵害に当たらないだろうか。貸与か譲渡かが異なるだけで、中古ソフトの販売とよく似ている状況である。
中古ソフトについて、判例では、頒布権は消尽するからゲーム会社は中古ソフト販売者に対して頒布権を行使できないと判断している。消尽とは、正当な権利者によって一旦製品などが適法に流通にのせられた場合、その製品などに関する知的財産権は目的を達成して使いつくされたものとして、転々流通する製品に対しては当該知的財産権の効力がおよばなくなることをいう。
ゲームバーが客にゲームを貸し出す行為についても、この判例の事案と同様に考えられるから頒布権侵害とはならないと考えられる。
次に客に店でプレーさせたりしたことについてである。著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する(上映権)。ゲームの映像をオープンな店の画面で流す行為は上映に当たるからゲームバーが客にプレーさせる行為は上映権侵害に該当するように思われる。
他方で、ゲームバーとしては場を提供していただけで実際にゲームをしたのは客であるともいえる。しかし、管理支配下においてユーザーの使用に供する場合で、当該コンテンツをも提供しているときには、当該提供者を行為の主体であると評価することができると判断した判例がある。
したがって、ゲームバーは店内という管理支配する場所においてゲームというコンテンツを提供している以上、ゲームバーが上映権の侵害主体となってしまう。なお、営利を目的としない上映は、権利侵害とならないのだが、ゲームバーが非営利であるという主張は通らないであろう。店内で大会を実施して、大画面でその様子を映像として他の客に見せる行為も同様に上映権侵害となる。
弁護士の立場からしても、著作権は複雑であり、難解であると思う。最近、「eスポーツ」が盛り上がっているが、上記の通り注意が必要である。著作権法はそろそろ見直しが必要だといわれて久しい。
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【プロフィル】溝田宗司
みぞた・そうじ 弁護士・弁理士。阪大法科大学院修了。2002年日立製作所入社。知的財産部で知財業務全般に従事。11年に内田・鮫島法律事務所に入所し、数多くの知財訴訟を担当した。17年に溝田・関法律事務所を設立。知財関係のコラム・論文を多数執筆している。41歳。大阪府出身。
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