【次官セクハラ問題、テレ朝会見詳報(3完)】報道できない理由を問われた報道局長の返答は

 
定例会見を行ったテレビ朝日の角南源五社長ら=24日、テレビ朝日(内藤令撮影)

 「取材がしづらくなる」

 《財務省の福田淳一前事務次官のセクハラ問題で、女性社員が上司に被害を相談した際、上司が「報道できない」と判断した理由について質問が及んだ》

 --上司から聞き取りした際、報道できない理由について、上司は「ダメージを被りかねない」と説明したということだが、ダメージとは何か

 篠塚浩報道局長「多分、想定されるのは取材がしづらくなるとかそういうこと」

 --(隠し録りなど)今回の取材手法は問題点があったと考えるのか

 篠塚局長「録音自体は身を守るための行為だった」

 --麻生太郎財務大臣の任命責任を求める予定はあるか

 角南源五社長「私から申し上げることはありません」

 --結果として報道しなかったことは、適切だったのか

 角南社長「本来であれば上司がさらに(報告を)上にあげて、確認作業が行われるべきだった。情報共有がされなかったのは残念」

 --情報共有が行われていたら報道されたのか

 角南社長「厳重に抗議した後、総合的に判断していた」

 --もし社長に情報が上がっていたならば、社長は報道すべきだという判断をしたか

 角南社長「その時点で総合的に判断した。現在は全部の情報が整っていないので、事実確認をしたあと、まずは抗議すべきということ。その抗議の後は総合的に判断する」

 --報道すべきだったということか

 角南社長「19日に会見を開いたのは、福田氏がセクハラ問題について否認したまま辞任をしたことで、取り急ぎテレビ朝日の見解を示す必要があったと判断したから」

 「懲戒処分については現在、調査中」

 《女性社員が取材で得た情報を外部メディアに流したことの是非について、質問が続いた》

 --女性社員が週刊誌に情報提供したことについて、懲戒処分に当たりかねない行為なのではないか

 角南社長「公益目的からセクハラを訴えたもので、当社としてはその考えは理解できるという認識」

 --女性社員の責任を問うことはないか

 角南社長「一方で、取材で得た情報を第三者に提供したことは遺憾に思う」

 --それは自社で報道できなかったからなどの理由があったためで、彼女の責任ではないのでは

 角南社長「組織として情報共有できなかったことを当社としても反省している」

 --女性社員はなぜ週刊新潮に持ち込んだのか。理由は聞いていないか

 篠塚局長「本人には週刊新潮が福田氏の周辺を取材しているという情報があった。そのため、色々な事情を含めて報じてくれるのではないかという期待があったと聞いている」

 角南社長「また、本人は通報窓口には考えが及ばなかった、とのこと」

 --取材で得た情報を外部提供したことについて、女性社員や上司に対しての処分は考えているか

 角南社長「現在調査を続けている」

 「(セクハラ問題報道をできたか)わからない」

 《女性社員の行動についてテレビ朝日側の考え方と、セクハラ問題を報道できる状況だったのかについて話が及んだ》

 --許可を得ずに録音したことについては「身を守るためこと」、第三者に情報を渡したことは「セクハラ被害を訴えるのは公益目的」とのこと、その上で「遺憾」だというのは何が遺憾なのか

 篠塚局長「渡したもののなかで、(森友学園の関連など)取材内容に伴うものもあった。これに関しては第三者に情報提供したことは遺憾であるということ」

 --セクハラ被害の情報を提供したことについては

 篠塚局長「公益にかなうと考えている」

 --セクハラ被害の報道をすべきだと訴えた女性に対し、上司は「報道すると政治問題になり、本人も左遷される可能性もある」と伝えたと聞いていますが、上司の方は会社側の聞き取りにどのように説明したのか

 篠塚局長「基本的にこの問題は人権問題であると捉えている。このタイミングで(セクハラ問題を)出すことは政治問題になる、何らかの意図があるととられかねないという疑念があったと聞いている」

 --セクハラ問題報道は現状でも政治問題に直結しかねないところがある。当時、情報共有がなされていたとしたら、社長は判断上「報道できたかもしれない」と言うが、実際に今回のセクハラ問題を報道できたと思うか

 角南社長「分かりません」

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