スティック掃除機、パナが最高吸引力の新型で勝負 米社参入で日米英三つどもえの争奪戦

 
パナソニックが8月30日に発売するコードレススティック掃除機「パワーコードレス」=20日、東京都港区(今井裕治撮影)

 パナソニックは20日、コードレススティック掃除機「パワーコードレス」を8月30日に発売すると発表した。超強力モーターの採用で同社史上最高の吸引力を実現、吸引力重視路線で圧倒的な国内シェアを誇る英ダイソンに真っ向勝負を挑む。スティック型では8月に米国で「ダイソンキラー」と呼ばれた米家電シャークニンジャの参入も控えており、日米英三つどもえの争奪戦が幕を開ける。

 「日本の家屋に関する知識では海外勢に負けない。その強みを生かしたい」

 パナソニックの岡内理クリーナー事業統括は20日に東京都内で開いた発表会で最高吸引力の新製品で海外メーカーに対抗する考えを示した。新製品パワーコードレスは、新しく開発した超強力モーターの採用により、従来の同社製スティック型に比べて約2倍の吸引力を実現。これまでの弱点を克服した。

 大容量のリチウムイオン電池を8本搭載することで運転時間は最長約65分まで延ばした。価格は7万5千~9万円前後(税別)。月5千台を生産し、家電量販店で「10%以上のシェアを目指す」(岡内氏)。

 コードレススティック型は充電式で電気コード不要なため使い勝手に優れる上、吸引力が高まったこともあり日本でも成長が続いている。パナソニックによれば平成30年の市場は約260万台と、全体の3割超を占める見通し。競争も激化の一途だ。23年に日本でスティック型市場を切り開いたダイソンは、最新の「サイクロンV10」シリーズで、最長1時間の運転時間を実現するなど、性能強化でシェアの引き上げに余念がない。

 米掃除機市場でダイソンを苦しめたシャークニンジャは8月から日本の家電量販店で「エヴォフレックス」を発売し、日本市場でもダイソンに対抗。国内メーカーは個性的な製品開発を急ぐ。アイリスオーヤマ(仙台市)は6月発売の新製品に、本体に取り外し可能なモップを付けた。東芝ライフスタイル(川崎市)は8月に売り出す新製品に吸い込んだゴミを圧縮できる機能を搭載するなど、製品差別化で販売の上積みを目指す。(今井裕治)