料理家派遣、家庭の味を継承 シェアダイン・飯田陽狩最高経営責任者

 
料理家による出張調理代行サービス。各家庭のニーズに合わせた料理を作り置きする

 共働きと核家族世帯の増加とともに、親から子へと家庭料理を受け継ぐ機会が失われつつある。家族と一緒に食卓を囲む経験を子供に残すため、シェアダインの飯田陽狩最高経営責任者(CEO)はプロの料理家を各家庭に派遣する事業を立ち上げた。料理代行だけにとどまらず、さまざまな日頃の食の悩みやレシピの相談にも応じ、料理家と家庭との間で料理スキルをシェアすることによって、新しい形の家庭料理継承を目指す。

 3日分を作り置き

 サービスを利用するには、ホームページ上の「初めての離乳食」「好き嫌い・偏食」といったタグを検索して料理家を探す。申し込むと予約日時に各家庭に出張する。共働きで2人の子供がいる家庭の場合、約3時間で10品目前後の料理を3日分作り置きしてくれる。

 サービス料7000円のプランでは、食材費が別途3000円かかったとすると、1人分1食当たり約850円となり、大手総菜チェーン、宅配料理キット、店屋物の出前とほぼ同じ料金水準となる。サービス料には買い物代行費と、交通費が含まれる。

 登録されている料理人は約100人でほとんどが管理栄養士、調理師といった有資格者となっている。

 飯田CEOはアナリストとしてコンサルティング会社に勤務していた。出産後、日々の業務の忙しさから、子供のために料理を十分していないことに悩むようになる。そんなとき、体調を崩して家事代行業者を依頼することがあり、離乳食や産後の回復のための料理を作ってもらったことをきっかけに、料理代行業での起業を思い立った。

 家事代行業と類似するビジネスだが、料理に特化したことで当初は有資格者という条件を定めていなかったにもかかわらずプロの応募が多く、おのずと高いスキルの人材を提供できるようになり、やがてプロに特化するようになった。

 「掃除や洗濯を含めた家事全般ではなく、調理のみで自らの力を生かしたいというプロ意識に応えている」ことが料理家を引き付けた要因で、登録希望者は増え続けている。

 介護食なども対応

 料理代行だけでなく、「子供が野菜嫌いで食べてくれない」といった悩み相談や、レシピの伝達なども行っている。利用者からは「いろいろ質問できてプライベートの料理教室のようだった」「レシピを教えてもらい、すっかりわが家の定番になっている」と好評だ。

 5月から東京23区内を対象に本格運用を開始し、7月からは千葉、神奈川、埼玉各県の一部にもサービスエリアを広げた。来年には大阪、名古屋など全国展開にも乗り出す。今は子育て世帯の利用がほとんどだが、「両親にも使ってもらいたい」という声も多く、介護食のほか、嚥下(えんげ)障害や糖尿病、糖質制限、高血圧、ダイエット、筋トレメニューへの対応といった、幅広い食のニーズに合った献立を提供していく。

 「料理代行を世の中に不可欠な、社会インフラとして成長させたい」とサービス展開を加速させていく。

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【プロフィル】飯田陽狩

 いいだ・ひかり 東大院修了。2006年みずほ証券入社。ボストンコンサルティングを経て、17年5月シェアダインを設立し、現職。愛知県出身。

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【会社概要】シェアダイン

 ▽本社=東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山コスモスサウス3階

 ▽設立=2017年5月

 ▽資本金=2000万円

 ▽従業員=6人

 ▽事業内容=出張料理マッチングプラットフォーム運営・管理