ベネクスのリカバリーウエア、70万着突破 独、中国に続きアジア展開加速
ベネクスが製造販売する「リカバリー(疲労回復)ウエア」の販売数量が2010年2月の発売以来、累計70万着を突破した。「着るだけで疲れがとれて安眠できる」との国内外のアスリートによる口コミがブームに火をつけ、いまは慢性疲労のビジネスパーソンや健康志向の女性、シニア層へとファンを広げている。日本発の技術は、ドイツなど海外での評価が高い。中村太一社長は「20年の東京五輪は、国内外への情報発信のハブとなるだけに最大の商機だ」と今後の海外展開に意欲を燃やしている。
着るだけで疲労回復
リカバリーウエアは、繊維に織り込まれたナノプラチナが発する電磁波の一種である微弱な遠赤外線が筋肉の緊張をほぐし、血流を良くする効果があり、着るだけで疲労回復につながるという。
中村社長は、有料老人ホームの運営などのコンサルティング会社でキャリアをスタート。床ずれを解消できる、ベッドマットで寝たきりのお年寄りを救いたい一心で起業した。
06年にプラチナ鉱物の微弱な電磁波が副交感神経を優位にして睡眠の質が向上し、疲労回復効果があることを発見。ナノプラチナを効果的な配合で組み合わせた、特殊素材「PHT」を完成させ、翌年PHTを織り込んだ新繊維を開発した。
満を持して、この技術でベッドパットを商品化するはずが、高額で売れずじまい。それでも諦めずに、その生地で、介護士向けに疲労回復を狙ったTシャツを展示会に出品したところ、「アスリートの疲労回復にと」大手スポーツジムのバイヤーの目に留まり、試験販売も上々だった。
本格的に発売するにはエビデンス(科学的根拠)の立証は欠かせないと、09年に東海大学、神奈川県との産学公連携事業で「休養時専用リカバリーウエア」の開発にこぎ着けた。
競泳代表選手ら愛用
転機は、13年にドイツで開かれた世界最大のスポーツ用品見本市「ISPO(イスポ)」だった。無謀にも商品コンテストに応募したところ、疲労回復のコンセプトと実績が評価され、いきなり日本企業初の金賞受賞の快挙を成し遂げた。翌年同大会に出展すると、前評判を聞きつけた欧州企業約20社から契約打診を受け、注目を集めた。ドイツは「スポーツ大国で消費者は世界一うたぐり深い」と称される難しい市場だけに、「最初の海外展開に選んだ効果は大きかった」と振り返る。ドイツのボーフム大学との効果を示すデータ集積も奏功し、15年に本格販売した。
ドイツの競泳チームでは、マルコ・コッホ選手が愛用し、実績を上げていたのに着目。16年のリオデジャネイロ五輪に出場する水泳ドイツ代表選手の休養時ウエアに公式採用された。ドイツナショナルトレーニングセンターともリカバリーサポート契約を結び、好循環モデルを築いた。17年には中国・上海市の旗艦店に続き、ドイツのマンハイムに欧州初の直営店を開業した。「今後はアジア展開を加速する」考えだ。
中村社長は、「研究開発に終わりはない」が信条だけに、東海大、順天堂大など14の国内外の研究機関と、筋肉疲労の変化や免疫実験など裏付けの探求に余念がない。「パフォーマンスを上げるための3大要素のうち、運動と栄養は差別化しづらいが、『休養』」は最後に残されたフィールドで、研究の余地がある」と技術を磨く考えだ。
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【会社概要】ベネクス
▽本社=神奈川県厚木市中町4-4-13 浅岡ビル4階
▽設立=2005年9月
▽資本金=1000万円
▽事業内容=衣料品開発、製造、卸、販売
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