IoT住宅・マンション相次ぐ 環境・地震センサーや体感展示場数拡大
IoT(モノのインターネット)を取り入れたマンションや住宅を開発する動きが活発化している。長谷工コーポレーションは1日、温湿度や雨量を測定する環境センサーや地震センサーなどを導入した分譲マンションを順次建設すると発表した。一方、大和ハウス工業はIoT住宅を体感できる展示場の数を年内に2.5倍に拡大する計画だ。
長谷工は自社保有する賃貸物件などに環境・地震センサーを設置しIoTマンションの検証を進めている。今後は一般の分譲マンションにも展開するとともに、匂いや騒音を計測するセンサーも実用化、「建物が生きているように情報という血液をめぐらす」(長谷工アネシスの榑松(くれまつ)行雄執行役員)考え。
これにより「これまで分からなかった環境情報や、居住者の暮らしにかかわる情報を把握できるようになる」(長谷工コーポレーションの池上一夫専務執行役員)としており、セキュリティーや災害時対策のさらなる高度化、新サービスの提供につなげていく。
大和ハウスはグーグルのスマートスピーカー「グーグルホーム」を活用した「ダイワコネクト」プロジェクトを展開。複数のIoT機器が有機的につながり、人工知能(AI)を活用して得たデータを踏まえサービスを開発し、共働き夫婦の家事効率化といった課題に取り組む。現在は約60カ所の住宅展示場にダイワコネクトを導入しているが、年内に150カ所まで拡大する計画だ。
LIXILは家電やデジタル機器から、玄関ドアや窓シャッターなどの建材まで、IoT技術でトータルにつながる「ライフアシスト」として商品化。スマートフォンアプリを活用すれば、外出先からでも鍵の閉め忘れの確認や施錠、家電機器のオン・オフなどを操作できる。
ミサワホームは東京都大田区の賃貸アパートの一室をIoT対応仕様とした。外出時でも電灯やエアコンの操作、カーテンの開け閉めを可能にし、不審者が侵入しにくい環境づくりを支援する。磯貝匡志社長は「安全性という観点からの差別化を図ることができた。IoT住宅には宝が眠っている」と話す。
今夏は記録的な猛暑によって電力需要が急伸。家庭からの二酸化炭素(CO2)排出量が増えるのは必至だ。IoT住宅は家庭のエネルギー状況を部屋や電気機器ごとに確認できる。快適性や利便性だけではなく、環境対策といった切り口もIoT住宅の普及を後押ししそうだ。
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