銀行系、個人データ利活用仲介へ 格付け情報、購買履歴など企業に提供
銀行やその系列企業が個人データを本人の同意を得た上で企業に提供するビジネスに乗り出す。みずほ銀行とソフトバンクが共同出資するJスコアは人工知能(AI)が判別した個人の信用格付けを10月から企業が利用できるようにするほか、三菱UFJ信託銀行は購買履歴などを企業に提供する「情報銀行」を来年にも事業化する。金融資産の管理ノウハウを生かし、新たな収益源の創出を狙う。
Jスコアはフィンテックベンチャーで個人向け融資を手掛ける。スマートフォンのアプリに年収や勤続年数などを登録すると、AIが信用力を点数(スコア)化し、これに応じて金利などを優遇している。
新たにこのスコアを6ランクに分け、提携企業が接触したいランクの個人にスマホなどを通じて情報配信できるようにする。サービスには語学学校など10社前後が参加する見通し。企業側は信用でランク分けされた顧客に接触でき、マーケティングがしやすくなる。
三菱UFJ信託銀はスマホアプリを使って個人の購買情報や健康情報などを集約し、企業に提供する「情報銀行」ビジネスを始める。個人はアプリで提供先を選び、対価として企業からお金やサービスを受け取る仕組みだ。8月からは行員ら約1000人が参加する実証実験を始めた。
背景には企業の個人データに対する需要の高まりがある。個人の好みや暮らしぶりなどさまざまなデータが手に入れば、企業は効果的なマーケティングやサービスの提供が可能になる。
現在、個人データはグーグルなど米IT企業がほぼ独占的に収集・商業利用しているが、個人が主体的に情報の扱いを決めるべきだとの考えもある。ただ、個人が膨大な情報を制御するには限界があり、仲介する情報銀行が注目され始めた。大手銀は顧客の意向に沿った財産を管理する信託と親和性が高いとして意欲的だが、電通など他業種の参入の動きもある。
情報銀行の普及について野村総合研究所の崎村夏彦上席研究員は「一筋縄ではいかないが、消費者の信用を得ることや、魅力あるサービスを提供できるかが鍵を握る」と指摘した。
関連記事