マネロン審査、地銀に重圧 来月実施も専門人員・経験少なく「合格」不透明
マネーロンダリング(資金洗浄)対策を審査する国際組織「金融活動作業部会」(FATF)の国内審査を来月末に控える中、地方銀行に強い重圧がかかっている。日本が「不合格」とされた2008年の前回審査の汚名を返上するには、リスクが高い地銀の対応力の底上げが不可欠。だが、メガバンクに比べ専門人員や経験の少ない地銀は対応に苦慮しており合格評価を得られるかは見通せない。
「官民一体となり対応を進めており、個別の地銀でも外為取引や預金取引の体制を整備するなど審査に向けて準備をしている」
全国地方銀行協会の笹島律夫会長(常陽銀行頭取)は18日の記者会見でこう述べ、目前に迫ったFATFの国内審査に向けて地銀の対策が進んでいることに一定の評価を与えた。
実際、ここ数年で資金洗浄対策に動き出す地銀は増えており、6月には福岡銀行、西日本シティ銀行などが資金洗浄に使用されている疑いが強いと判断した個人口座について、銀行側から取引停止や解約ができるよう預金規定を改定。昨年以降、現金の持ち込みによる海外送金を停止する地銀も増えている。
ただ、17年には愛媛銀行で数億円規模の資金洗浄と疑われる海外送金を見逃したとされる事件も起きるなど、対策が手薄な中小地銀が狙い撃ちされる状況は続いている。超低金利下で経営難の地銀が増える中、「対策を熟知した人材を確保できておらず、システム面でも不安が残る」(地銀関係者)のが実態だ。
今回のFATF審査に対しても「できる対策とできない対策を明確に分け、いつまでに対応するか説明できれば一定の評価は得られる。百点満点を取ろうとしない」(同)対応で臨む地銀が大半とみられる。
とはいえ、1社でも不十分の烙印(らくいん)を押されれば、国内金融機関の評価は再び下がりかねない。そうなれば邦銀の国際取引が制約を受け、海外決済や送金にも影響する恐れがある。
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