新型コロナ拡大で多様な働き方本格化 個人や企業が進化試される
こんなに長く新型コロナウイルスの影響を受けることなど誰も想像していなかったのではないだろうか。筆者の周りでも大きな打撃を受けている人が多い。(芝蘭友)
舞台女優の人は、舞台が全て中止となりチケット代金の返却に追われたという。また企業を相手に研修をしていたコンサルタントや講師は、単発研修も長期研修の予定も全てなくなったという。子供の習い事にかかわる講師も打撃を受けている。筆者も趣味でドラムを習っているが、「3密(密集、密閉、密接)」が発生する場であるため再開はコロナが落ち着いてからという連絡があった。
最も打撃を受けているのが観光業、次に飲食業だという。どちらにも共通することが施設という「場」を持ち、大勢の人に来てもらわなければ成り立たないというビジネスである。飲食店の現状を取り上げた報道も多く見受けられた。売り上げが月1000万円程度という飲食店が自粛を余儀なくされ、テークアウトをはじめて乗り切ろうとしたという取り組み。それでも売り上げが月100万円に満たないという報道である。飲食店は、売り上げの約1割が地代であると言われている。
売り上げが月1000万円であれば、家賃は月100万円前後となる。テークアウトを始めようが売り上げが月100万円に満たないようでは家賃も払えないということである。新型コロナが明確にしたのは、実際に会うことによってしか成立しないビジネスなのか、否かではなかっただろうか。
まさに実際に会うことでしか成立しない仕事が医療である。医療従事者が完全なリモートワークなどということでは仕事が成り立たない。目の前の患者を見て、触れて、診断して、対応して、治療するのが仕事である。まさに、命の現場の最前線に立って戦う場にいる人たちだ。だからこそ、世界中から医療従事者を応援しようという流れが出てくる。
筆者は6年前からテレワークを導入している。それは当時、いろんな家庭事情を踏まえた人たちと働くために必要なことであった。働きに出たくても子供が小さくてフルタイム勤務は難しい、地方に住んでいるが近所に働ける場所がない、介護をしながらも働ける場所を探しているなどである。当初は非常に特殊な状況だと思っていたが、もはやこのような働き方が主流になっていくだろう。
またそのような人たちと働ける環境をいかに企業側が本気で準備しようとしているかが問われる。外資系企業で働く知人も、「満員電車に揺られて会社へ行くあの苦しさは何だったのかと気づいてしまった」という。つまり、自宅でテレワークができるという状況に気づいてしまった人たちが多く存在するということである。
コロナ不況だと思われるが、一方でオンラインシフト関連の事業は伸びている。例えば自宅で仕事をする空間を確保するためのデスク周りやインテリア商品などだ。さらにオンラインで対応するためのIT機材や性能が良いウェブカメラなどである。一時期、知り合いから「ウェブカメラを早く買った方がいい。品切れになっている」と連絡があったくらいだ。ウィズコロナ、アフターコロナ、コロナ離婚、オンラインシフトなどさまざまな言葉を生み出し、影響を世界中に巻き起こした。コロナ収束後、いままでの生活様式に戻ってしまうのか、これに学び進化できる個人や企業となれるのか。それが試されているのではないだろうか。
【プロフィル】芝蘭友
しらん・ゆう ストーリー戦略コンサルタント。グロービス経営大学院修士課程修了。経営学修士(MBA)。うぃずあっぷを2008年に設立し代表取締役に就任。大阪府出身。著書に『死ぬまでに一度は読みたいビジネス名著280の言葉』(かんき出版)がある。