「テレビ時代」終止符も… ソニー、販売計画2000万台に半減 (2/3ページ)

2011.11.3 05:00

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 パナソニックが10月31日に発表した構造改革策は、国内外に5つあるテレビ用パネル工場を2つに集約。パネルの生産能力を42型換算で年間1380万台から720万台に半減させる一方で、より安価なパネルの外部調達を強化する。パネル生産からテレビの組み立てまでを一貫して自社で手掛ける“自前主義”と決別するという荒療治だ。

 シャープも、テレビ用液晶パネルを生産している亀山工場をスマートフォン(高機能携帯電話)向けなどの中小型液晶に順次切り替えるほか、付加価値が高い60型以上の商品を強化する「超大型化」にシフトする。日立製作所も今年度中にテレビの自社生産から撤退し、海外メーカーなどにすべて生産委託することを検討している。

 ◆待たれる新発想

 1953年に量産を実現して以来、革新的な技術を世界に送り出してきた日本製テレビの誕生から約60年。しかし、韓国や台湾勢などの追い上げもあって、テレビは高級品から汎用(はんよう)品へと変貌。価格下落や円高なども加わり、「テレビを取り巻く環境がこれまでにないほど悪化している」(電機担当アナリスト)のが現状だ。

 ただ、パナソニックの大坪文雄社長が「グローバル商品の象徴で引き続き重要な商品」と位置づけるように、テレビは家電製品の中枢に位置する戦略商品。ソニーの平井副社長も「画質や音質を差異化する技術はある」と語るように、コスト削減以上に従来の発想を超えた新たな“和製テレビ”の登場が待たれる。(古川有希)

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