スマホ急増で弊害表面化 架空請求、ウイルス… 環境整備追いつかず (2/3ページ)

2012.1.21 05:00

 難しいアプリ規制

 被害は表面化してはいないが、パソコン並みに存在が脅威となりつつあるのがスマホ向けのマルウエアだ。ウイルス対策ソフト会社トレンドマイクロによると米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を狙ったマルウエアは昨年12月末時点で1183件見つかった。同1月末時点は8件だったが夏ごろから急増。通話やメールの内容を外部に漏らすほか、端末を操作し勝手に電話やメールを発信するものが確認され、同社はウイルス対策ソフト導入や、不審なサイトの回避を呼びかけている。

 事業者による情報流出も問題だ。KDDI研究所がアンドロイド搭載のスマホ向けアプリ販売サイト「アンドロイドマーケット」の無料アプリのうち人気の上位400本で外部へのデータ送信状況を調べたところ、181のアプリで何らかの利用者情報がアプリ開発会社などに送信されていたという。

 スマホは携帯電話ながらパソコン並みにウェブサイトが閲覧できたり、自由にアプリをダウンロードして自分好みに楽しめるなどの点が受け急速に浸透。調査会社のMM総研によると、昨年4~9月の出荷台数は前年比4.5倍の1004万台。今年3月までには前年比約2.7倍の2330万台に拡大する見通しだ。

 しかし機能が従来の携帯電話から大幅に向上し複雑化。さらに好ましくないアプリを規制することもなかなか難しい。

 特に外部から開発できる「オープンソース・ソフトウエア」であるアンドロイド搭載端末向けのアプリは、携帯電話事業者などが開設するダウンロードサイトでのチェックはできても、「携帯電話事業者がすべてを検査できるわけではない」(KDDIの田中孝司社長)。

 都消費生活総合センターの金子相談課長は「利用環境がまだ完全には整っていない」としており、スマホの急速な普及に疑問を呈する声も少なくない。