任天堂はゲーム機のハード、ソフト市場のパイオニアとして躍進したが、最近ではスマートフォン(高機能携帯電話)の登場で楽しみ方も多様化している。それに伴い、プロ野球・横浜ベイスターズを買収したDeNAやグリーなどのように、携帯電話にゲームを無料提供し、後に課金するといった新たなビジネスモデルも急成長している。
このようにゲーム市場が大きく変化する中、任天堂は一世を風靡(ふうび)したマリオ頼みのゲーム開発から一歩踏み出すことができず、いわば“マリオの呪縛(じゅばく)”が新機軸のビジネス展開を阻み、成長戦略の妨げになったとの指摘もある。
振り返ると、20世紀の高度成長を支えたガソリン自動車や固定電話は不滅のビジネスモデルのように思えた。しかし、今やガソリン車はハイブリッド車や電気自動車に主役の座を奪われつつあり、固定電話は携帯電話の普及に圧倒されている。
電子ゲームという斬新なビジネスモデルを打ち立て、トップを走り続けてきた任天堂だが、無敵のスーパーマリオもいつしか「ビジネスモデルの耐用年数」がそろり忍び寄っているのかもしれない。(編集委員 巽尚之)