テレビ・PC値崩れ「底なし」 1インチ1000円以下、売れ筋ノート半値… (2/2ページ)

2012.3.22 05:00

 「投げ売り」に近い価格でも、量販店はメーカーからの販売奨励金で利益を確保できているとみられる。一方、競争の激しさから価格交渉で不利なメーカーは「作れば作るほど赤字」に陥り、苦境を打開できない。

 このためテレビ事業が12年3月期に8期連続の赤字となるソニーは「数をさばく」戦略を事実上、放棄。12年度は新製品の投入数を前年の約半分に絞り、利幅が大きい上位機種を軸に据える。

 パソコンの値下がりも激しい。ノート型で人気のA4サイズは、昨秋発売の旧モデルが発売時の半値に近い7万円台に暴落。年明けに発売された新モデルも最大2割下がっている。

 タイの洪水で基幹部品の生産が滞り、在庫が減って下落に歯止めがかかるとの見方もあったが、期待は裏切られた。MM総研の中村成希アナリストは新モデルについて「販売不振のため、性能をほぼ変えずに価格を抑える苦肉の策に出ざるを得なくなった」と指摘する。

 5万円前後で販売されるスマートフォンやタブレット型端末が値下がりし、買い求めやすくなれば影響は大きい。秋にも登場する米マイクロソフトの新OS(基本ソフト)「ウィンドウズ8」関連の特需が期待されるが、「歯止めにならないかもしれない」(大手メーカー幹部)と悲観的な見方も漂っている。(井田通人、古川有希)


テレビ大不況「4K」は業界を救う? 原点回帰、画像に懸ける