「原発ゼロ」日本42年ぶり 日本経済に大ダメージ (2/2ページ)

2012.5.5 05:00

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 東電以外の電力各社にも燃料費増は経営の重荷となる。「いずれ値上げに踏み切らざるを得なくなる」(政府関係者)とみられ、影響は全国に広がる。

 原発ゼロが続けば、慢性的な電力不足は避けられない。原発の代替電源として期待される再生可能エネルギーの普及には課題が多く、火力発電の新設には10年程度かかるからだ。

 企業は自家発電設備の運転や生産のシフトといった対応を迫られ、コスト増を余儀なくされる。ある大手メーカー首脳は「製造拠点の海外移転を真剣に検討せざるを得ない」と話す。海外流出は国内の雇用を減らし、国民生活も直撃する。

 原発ゼロのまま今夏が猛暑になった場合、政府の需給検証委員会は日本全体で0.4%の電力不足になると試算。原発依存度が高い関電管内での不足は16.3%に達する見込みだ。

 今夏は九州電力で3.7%、北海道電力でも3.1%の電力が不足する見通し。大口顧客向けの電力使用制限令や計画停電が、企業活動に犠牲を強いる事態が再び迫りつつある。