重電シフトが奏功
対照的に産業用機器などを主力とする総合電機3社の業績は堅調だ。
“勝ち組”の筆頭は日立製作所で、リーマン・ショック後の09年3月期には7873億円という日本の製造業として過去最大の最終赤字に陥ったが、その後の「安定収益を上げにくい事業は距離を置く」方針に沿って携帯電話事業などを分離し、テレビ事業も縮小。その一方で、経営資源をITや鉄道などの社会インフラに集中させた。
この結果、12年3月期の最終利益は2期連続で過去最高を更新。13年3月期の本業の収益力を示す売上高営業利益率は5.3%となり、当面の目標だった5%台を達成する見通し。中西宏明社長は「いずれ欧米メーカー並みの10%を目指す」と次の成長ステージを見据える。
また、東芝や三菱電機もいち早く家電から重電へのシフトを進め、発電用機器や工場自動化設備という絶対的な収益源を生み出している。
結果的に、家電3社と総合電機3社の業績は大胆な選択と集中に着手した時期によって明暗を分けたといえる。
巨額赤字を計上した家電3社は白物家電や携帯電話などのほか、医療・環境関連という成長分野に「V字回復」の命運を託す。だが、11日の東京株式市場では3社の株価がそろって年初来安値を更新。とりわけソニーとパナソニックは31年ぶりの安値を記録した。市場では「収益回復の道筋が見えにくい」(証券アナリスト)との指摘もあり、構造改革の本気度とスピード感を注視している。